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案山子の世界

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2006.05.03
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カテゴリ:
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忘却の先にあるもの   06.5.3案山子

それはきらきらと流れる金箔の波頭
幾重にも重なり合った光の束
どんよりした雲間に見え隠れする残滓
まるで昇竜の如くうねりを繰り返す
月は今まさに万感の極地
天空の中で次第に張り詰めていく
忘却の先にあるもの
スパークするたびにその姿を現す
光と影の四十万を潜りぬけ
再び繰り返す阿鼻叫喚
静寂の訪れはまだ遠い
遥かな旅の終焉を迎える時
静かに煌く金色堂の揺らぎ
忘却の先にあるもの
それはきらきらと輝く金箔の陽炎


忘却の先にあるもの  案山子

海を見つめる老猫が一匹
風にそよぐ体毛に
もはや艶は消えうせて
その一条と化した瞳の中で
同化したヨットの帆柱一つ
今は廃墟となった朽ちた船体は
遥か栄華の時代を偲ぶが如く
その舳先を海に向けて佇んでいる
静かに時の風は流れて揺れて
砂浜に描く虚構のさざれ模様
忘却の先にあるものをもとめ
かなわぬ夢を乗せ出航の時を待つ





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最終更新日  2007.08.13 13:06:39
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