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案山子の世界

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2006.06.26
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カテゴリ:音楽
何の情報もなく、新譜コーナーから一枚のCDを買う。大抵は一曲でも気に入った演奏があれば、一日愉快な気持ちになる。意にそぐわない曲や演奏にぶつかると、一日が暗くなる。そんなことが今まで何回も繰り返された。作成者に叱られるかもしれないが、アルバムの解説は殆ど読まない。クラシックギターという特殊なジャンルでは、解説者も限られている。そのような人に、自分が感じた気持ちを曲げられてしまうのは耐えられないから・・。大抵はアーティストの賛美しか記載していない。曲もありきたりの解説だ。まあ、それが仕事だからしかたないが、世の評論家なんて、菜の花に止まるてんとう虫、紫陽花の葉に宿すカタツムリかもしれない(笑)

さて、今日も何の気なしに、新譜コーナーにあった村地奏一の「アメリカ」を買った。前回の山下和仁の「アメージング・グレース」は10分以上悩んだが(案の定最悪の買い物になった)このCDは見た瞬間に手が出ていた。感想は・・・

大事に育てられた子羊が成長し、やがて野に出て駆け出した・・・。そして野に放たれた子羊の顔はいつのまにか狼のたけだけさに変わっていた。そんな表現が彼にはふさわしい。たくましくなってきたものだ。演奏もすばらしいの一言に尽きる。

今まで、最初に聞いて感動したCDはわずかに2枚。フェルナンデスの「ラ・ダンザ」とラッセルの「ラウロ特集」そしてこの3枚目。これは特にすばらしい。表現するなら若さとか演奏がとかいう前に、きらきらと光を放っている姿が目に浮かぶ。それは大萩康司の繊細さ、木村大の荒々しさ、鈴木大介の技、福田真一の老獪さ、すべてにあてはまらない。アルバム「ニューヨーク」ではうまさが先行していたが、ここにきて、それを超越した。どういう表現をしたらいいかわからないが、音楽をカンバスいっぱいに描いているアーティスト、それが今の村地奏一だろう。姉の佳織とは一線をしく演奏だ。彼女に華があるというなら、彼にはさわやかであり、時に熱気を含んだ風を感じる。

こんな音楽を聴くと、今まで生きていてよかったと思う。いやな雑音を貯めた耳の中が浄化されていくのを感じている。でも涙はでない、感情を超越した感動だから・・・。





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最終更新日  2006.06.26 23:28:57
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