行けば天国! 雨季のバリ! 『バイクの轟音。ラジオの音楽。トッケーの鳴き声。』
気持ちが悪くなりそうなドライブはようやく終わってやっとやっとホテルに到着。こじんまりした所だけど、プールもちゃんとある。ロビーの家具は籐製だし、彫刻された柱の色も年季が入っていい感じ。チェックインの手続きをしている間、ジュースも出してくれたりして、良いんじゃないの? このホテル。「なっ、任せてくれって言っただろ!」寿司山くんは大威張り。みんなも、「そうね。」という気分になりつつあった。ルームキーが渡されて、部屋にむかうことに。ロビーの奥へ進もうとする私達に「ノーノー。こっちです。」と従業員さん。「え? どうして?」「なに? なにが起こったの?」戸惑う私達を尻目に彼はロビーを出ると道路を渡っていく。急いで付いていく私達。道路の反対側もそのホテルの敷地で、何軒か三角屋根のコテージが並んでいたのでした。大きなハイビスカスの木に赤い花が沢山咲いていたりして南国気分は盛り上がる。コテージの入り口はバリのお寺の入り口みたいで面白い。一つ一つが少しづつ違うのもご愛嬌だわ。部屋はまどちゃんと一緒だ。カチャ。鍵を開けて中へ入る。く、暗い。ハダカ電球が高い高い天井からプラ~ンと下がっている。小さ目のベッドが2つ並んでいる。ベッドには横縞のカバーが掛かっている。地味な色合いだけどなかなか綺麗な色のとり合わせ。ベッドとベッドの間に扇風機が置いてある。ただし固定式なのでベッドの足元に向かってひたすら風を送りつづけるだけ。奥にドアがある。洗面所、トイレ、お風呂への入り口。でも、ドアを開けるとそこは外なの。屋根はあるけど、壁が無い!しかも、すぐ裏がバイク屋らしく垣根の向こうでは、ブインブインと凄い音と若者達の笑い声。それに音量最高!のラジオからバリバリのハードロックがガンガン響いている。開けたドアを慌てて閉める。ここにずっと泊まるの?ヤルセナイ気分でベッドに腰掛けた。ベッドは何となく湿っていた。まどちゃんと私は顔を見合わせた。「トッケー、トッケー」遥か頭の上でトッケーも鳴き出した。トッケーくん、泣きたいのはこっちだよ。