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セルゲイ・マコーヴィコフ監督「タジキスタン国境要塞 アフガンゲリラ 11時間の死闘」を観る。 例によって彩プロクオリティの酷い邦題だが、原題は「Тихая застава(静かなる哨所)」。 内容は見ればわかるので、今回はちょっと背景について解説したいと思います。 ■1991年ソ連崩壊当時、タジキスタンに駐屯していたソ連国境軍第201自動車化狙撃師団は、新たに独立国となった同国にあって根拠地と装備を維持し、国境警備任務を継続していた。 しかし翌年タジキスタン内戦が勃発。 ロシア軍は特殊部隊を派遣するなどして、師団の兵力を増強し之に備えた。 同年9月、ロシア大統領エリツィンの命令により、師団は正式にロシア軍の指揮下に入る。 CISはタジキスタン内戦に平和維持軍を派遣したが、201師団はその中核となった。 【Wikipedia-タジキスタン内戦】 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BF%E3%82%B8%E3%82%AD%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%B3%E5%86%85%E6%88%A6 そして映画の題材となっている事件の概要は以下のとおり。 1993年7月13日早朝、アフガニスタンとタジキスタンにまたがるイスラム国家の建設を主張する匪賊ハッターブは、14集団、推定250人以上の軍勢を率いてロシア国境警備軍第12哨所”ソリゴル”を襲撃。 この攻撃により第201自動車化狙撃師団は22人の兵士と3人の軍属を失い苦戦するも、テロリスト80名を殺害し、彼等の野望を挫いたのである。 旧ソ連地域が初めて直面した国際テロリズムの脅威であった。 映画では中隊(※正確な部隊単位は『国境前哨』。)が油断したフリをしてわざと匪賊を誘い入れたかのようなストーリーとなっているが、映画のラストが示すとおり実際のところ哨所は無防備なまま侵入を許し、猛砲撃を受け、多くの犠牲を出した。 また劇中ではこのとき主人公である大尉が中破したBMP-2に乗り込んで敵迫撃砲を撃破したことになっているが、実際には、戦闘開始時BMPに乗り込む暇がなく一時身を隠していたBMPクルー3名が、隙を見て乗り込み操作したものである。 テロリストは突然猛射撃を始めたBMPに砲撃目標を変更し、これにより多くの兵士が生命を救われた。 哨所は2つの山頂に挟まれ、三方を急斜面に囲まれており、更に隣の第12哨所と連絡するためには、岩石の転がる峻厳な渓谷を通過しなくてはならず、特殊部隊の足でも2日はかかるという絶好の攻撃目標だったのだ。 だが哨所を占領した匪賊達は航空攻撃に阻まれそれ以上の前進を断念。 人質として利用するはずだった重傷の捕虜や死体を切り刻んで冷凍庫に吊るし、アフガニスタンに撤退せざるを得なかった。 国境軍は多大な犠牲を払いながらも匪賊に打撃を与え、タジキスタンを守る任務を果たしたのである。 その後第12哨所は「25英雄哨所」と名称を変更し、より防御に適した高地に移転した。哨所の跡地には25本の木が植えられ、慰霊碑が立っている。 ---------------------------------------------------------------- 上記のように映画の内容については、ほとんどフィクションであり、(住民の避難など)タジキスタン内戦において第201自動車化狙撃師団が行った複数の作戦をまとめたような印象の映画となっています。 だが旧ソ連そのままの哨所の様子や(「なぜ赤旗を掲揚しているんです?三色旗に換えた方が?」「ああ、新しいのが届いたらな」*ウロ覚え)、追加された恋愛ドラマ(勿論パールハーバーじみた嫌らしさは皆無です。ご安心を)の要素ですら当時の世情を反映しており、旧ソ連や中央アジアに興味のある方であれば、きっと面白く鑑賞できるのではないでしょうか。 軍装面から言うと、ソ連時代からの古いKLMK迷彩服を着たっきりの一般の国境軍兵士達と、P93迷彩ゴルカ上下に6Sh92アサルトベストと90年代らしい新しい装備を身につけたイゴール・サヴォチキンほか演じる偵察部隊の対比が面白いです。 この偵察部隊装備だったら、僕のコレクションでもほぼ再現可能ですね。 よし、やろう(笑)。 あ、でも今ロシア製銃器のエアガンはRPKしか持ってないなあ。 誰かからAKS74かAKS74Uを借りないと。 一方で、登場するAK74自動小銃が軒並みシンセティック素材のハンドガードを備えているのには若干の違和感を覚えますね。そこは木製じゃないのー? ともあれ一見の価値ありです。 今まで空挺だの地上軍だのばかりに目が行っていましたが、国境軍にも興味が湧いてきましたよ。 緑の縞シャツ買おうかしら・・・。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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