カテゴリ:映画
「The Grey」という昨年公開の映画、世間的な評判はいまひとつだったとおもいますが ラストシーンと音楽がよくて、当時二回みました。 先日レンタルでリリースされたので、またあのシーンがみたくて借りました。 音楽については、かなり前からサントラを買ってあったのですが、どうも釈然としなかった。 というのは、あのシーンに流れていた一番聞きたい曲がそこにはないように感じたからです。 似た雰囲気の曲はあるんですけど。 それで昨夜レンタル版をみたところ、ないのではないかという漠然した印象が 確信に変わり、すぐに調べ、その曲だけは違う映画のものであることが判明。 日本では未公開の INK という映画の曲のようです。 違う映画の曲を、映画の最も大切な場面で敢えて使ったわけです。 それだけ、そのシーンにマッチしてるのです。 Once more into the fray Into the last good fight I'll ever know Live and die on this day Live and die on this day もう一度 戦って 最強の敵を倒せたら その日に死んで 悔いはない その日に死んで 悔いはない リーアム・ニーソン扮する主人公の父が遺した物語のキーとなる言葉。 わたしがいいなぁと思うのは、この父が決して立派な人物ではなかったというところ。 欠点だらけの飲んだくれの粗暴な父だったというのがいい。 この言葉と先のピアノの曲が交差する物語の最後のシーンがわたしの琴線に触れて 久しぶりに日記にしようと思ったのです。 この言葉が表している構えは、男(雄と言ってもいいし、少年と言ってもいい)が 原始的に根源的に望んでいるありようだとおもうのです。 もちろん、それが良いとか悪いとか、すばらしいとか、そういう話ではありません。 「ずっと釣りたいと望んでいたでかいやつを釣りあげられたら、その場で祝いのウィスキー を一気に飲み干して、その場でぶっ倒れて死にたい。」 開高健さんは、確かこんなことを言ってましたが、これも同じですよね。 漫画「キリン」の主人公の台詞 「しかし38歳の男が求めるべき自分はまだ熟していない! 男として一番なくてはならないものをいまだに手に入れてないからだ」 これも近いと思います。 わたしの好きな「堂々男子は死んでもよい」という言葉も通ずるものがあると思います。 村上春樹「かえるくん、東京を救う」の、かえるくんが言う「きんたまの問題」は、近い ようですが、ちょっと違う気がします。 今も昔も、女性の考え方が男に正確に理解されないように このあたりは女性には理解しにくいものであると思います。 自分がそういう構えで生きられていないから、きっと強く惹かれたのだろうとおもいます。 一方、映画の主人公は、最愛の女性に先立たれ、半世捨て人としてだらだらと生きては いたものの、父の言葉とその女性の今際の言葉がフラッシュバックして決着をつける わけです。 先の曲がニコニコ動画にあったので、アカウントをお持ちなら聞いてみてください。 短い曲ですけど。 http://www.nicovideo.jp/watch/sm18340232 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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