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カテゴリ:アメリカ・カナダ
昨日の日記に関連するのだが、日本(及びアジア諸国)と欧米における夫婦と親子の関係の違いでいちばん大きいのは、
日本では親子関係が夫婦関係に優先するが、欧米では夫婦関係が親子関係に優先する点だと思う。 ファーストネームで呼び合っていた日本人夫婦が、子供が生まれた途端、子供の視点からお互いを「お父さん」「お母さん」と呼び始めるのは、家族の中で親子の役割が夫婦の役割に優先している証左である。子供にとって自分がお父さん・お母さんであっても、夫婦間ではあくまで夫と妻であるという関係が一貫していれば、子供のいない場面でお互いをお父さん・お母さん呼ばわりする必然性はまったくないはずだからである。 この相違点をより分かりやすくした例が、「子供を夫婦と一緒に寝せるか否か」である。 オレは子供の頃、自室を与えられた4年生になるまで、両親と同じ部屋で布団を並べて寝ていた。端から、父親・母親・妹・オレといった順番である。順番はさておき、小学中高学年になって自室が与えられるまで子供が親と一緒に寝る習慣は、オレ以外の家でもほぼ一緒だったと思う。 一方アメリカでもカナダでも、子供のオムツが取れ、柵の付いたベビーベッドで寝せるには大き過ぎる年齢になれば、親の寝室とは別の子供部屋に寝かされる。ヨーロッパの事情は直接見聞きしたことがあるわけではないが、たぶん北米とほぼ同じであろう。 「早い時期から独立心を養うため」とかいろいろな理由は挙げられるに違いないが、これは明らかに、夫婦の営みに子供が邪魔になるからにほかならない。その証拠に、子供を親と同じ寝室に寝せている日本及びアジア諸国では、夫婦は子供が目を覚まさないようにこっそりと房事にふけらねばならない。物音や漏れる喘ぎ声に子供が目を覚まし、親が慌てて行為を中断するようなことは日常茶飯事である。おかげで日本では子供の寝つきの悪い家庭は不和になりがちであると言われる。(ソースはオレ) 住宅事情の違いもあるという人もいるかも知れないが、必ずしもそうではない。欧米でも都会に住む人は、日本並みの狭いアパート暮らしをしている家庭もあるが、どんなに狭くとも親子の寝室は別にしている。逆に日本では、十分広い家に住んでいても、子供が小学生になるくらいまでは親の隣に寝かせているはずだ。 別の例を挙げれば、離婚と再婚に対する明らかな態度の違いがある。欧米、とくに北米では、夫婦間が不和になれば、子供の事情など鑑みず比較的容易に離婚し、片親となった父母も子供の感情など二の次に愛人や再婚相手を探し始める。「子供のためを思って」家庭内別居を続ける夫婦がいたり、離婚後も成長期の子供の気持ちを慮って独り身を維持する親が大半である日本とは大違いである。要するに、欧米ではあくまで「親子」より「夫婦」の方が優先なのである。 ただ、面白いことに、日本でもシングルマザーの母子の元に転がり込んできた「母親のボーイフレンド」が子供を虐待して殺したりケガをさせたりする例が増えているように、 北米でもアジアからの移民が増え文化背景の異なる男女が結婚するケースが日常的になるに従い、「子供を一緒に寝せる」親が増えてきているそうだ。 こちらのドキュメンタリー番組で見たのだが、北米ではもちろん布団で寝ていないので、日本のように子供の布団を隣に敷くのではなく、同じベッドで、しかも夫婦の間に子供を挟む感じで寝ているようである。この体勢では明らかに夫婦の営みは不可能に近い。 これは明らかに、北米でも「夫婦より親子」を優先する家庭が少しずつ増加している証左だとオレが考えている。子供のために夫婦の営みをガマンするような親は、たぶん男女関係を優先して浮気に走ることも少なそうだし、そうカンタンに離婚もすまい。子供が将来的にグレる可能性もより小さいような気もする。 ただ、オレは決して欧米式とアジア式のどちらの方が良いと思っているわけでもなく、どちらにももちろん一長一短があると思う。たとえば日本では子供の寝つきが悪いせいで欲求不満に陥った夫婦ひいては家庭が不和になることがあっても、個室に寝かせられる北米では円満な夫婦関係ひいては家庭が維持できたかも知れない(笑)。一方で子供の頃から毎晩暗い怖い寝室にひとりで閉じ込められ両親に疎外されたという不安感・不信感を抱いて成長した北米の子供が不適応になったり犯罪に走り、毎晩両親に見守られてぐっすり眠れたという基本的な安心感や信頼感を持って成長した日本の子供が将来凶悪犯罪に走ったりすることが少ないようなことも考えられる。 まあ、月並みな結論を言うなら、両者のバランスが肝心ということだろう。ただ、どちらかと言えば「親子関係>夫婦関係」寄りにしておいた方が、社会の存続のためには都合がいいだろうとは思われる。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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