|
カテゴリ:時事
日本でどれくらい大々的に報道されてるか知りませんが北米ではニュース番組の半分が例のノルウェー連続テロ事件で占められ、アメリカが債務不履行で世界経済を大破局に陥れるギリギリまで迫っているとか、中国の高速鉄道では開設まもなく事故が相次いでついに脱線転覆の大事故で数十人が死んだとか、ソマリアでは飢饉で何万人もが死に掛けているとか、エイミー・ワインハウスが(ジミヘンやジム・モリソンやジャニス・ジョップリンやカート・コバインと同じく)27歳で死んだとかいった、本来であれば大ニュースとして取り上げられていただろう重大なことが報道番組ではほんのちょっとしか紹介されず、とても勿体ない。マスコミしてみれば、こういう重大ニュースはできれば同じタイミングで起こらずに散発的に発生してもらいたいところだろうが、世の中なかなかそういうわけには行かないもののようである。
まあノルウェーといっても北欧の小国、デンマークよりも人口が少なくスウェーデンに比べると半分強しかいない。ノルウェーと聞いて普通の人が思い浮かべるのはフィヨルドとノーベル平和賞くらいではないか。あ、あとムンクの『叫び』もあるか(笑)。日本人だと村上春樹の『ノルウェーの森』なんかもあるな。…まあいずれにせよ、このようなバイオレントな大量殺戮事件は、アメリカみたいな国で起きても「またか」と思うだけだし、イギリスやアイルランドなどであれば「ああ、過激派か」と思って納得するところが、こんな平和で穏やかなイメージのある国で起きると、一気にニュース・バリューが高くなってしまうわけだろう。 ボクにとってはノルウェーというのは青春の甘い思い出の土地の1つである。父親の生まれ故郷であるこの国に短期語学留学していた当時のガールフレンドに会いに、ボクは20代半ばの夏にアメリカのノースキャロライナからヒッチハイクで2~3週間掛けて首都オスロまでたどり着き、4~5日間を過ごしたことがある。北欧の夏の穏やかな日差しの中、きれいに整備された市内の公園をガールフレンドと散歩したり、ヨットハーバーのデッキに2人で横になって日向ぼっこしたりといった記憶は、この国の平和で美しくのんびりした印象を決定づけている。 ノルウェー人には何とも言葉に表し難い魅力がある。同じ北欧でも、お隣のスウェーデン人なんかと違った純朴で暖かい感じがある。その違いはちょっとアメリカに対するカナダに似ているかも知れない。より自然に密着していて、人工的な所有物に対する執着がない。 特に女性の可愛さにはドキっとする。同じ金髪に碧い眼でも、ロシア人やスウェーデン人みたいな近づき難い感じがなく、温かい笑顔がすごく似合う。あれは単に子供の頃テレビアニメで見た『小さなバイキング・ビッケ』の印象がどこかで刷り込まれているからかも知れない(注:あとで調べたら、フラーケ族はノルウェーでなくスウェーデン人という設定だそうだ。まあ当時はノルウェーもスウェーデンの属国だったろうけど)。 もう19年も前のことなのでこの国もその間にだいぶ変わってはいるだろうが、当時ノルウェーにはテレビのチャンネルが3つしかなかった。国民の娯楽はテレビでもゲームでもなく、もっぱら読書という国であった。何かの統計によると、読書に掛ける時間ではノルウェーが当時世界一だったはずだ。日本と一緒で魚が主食であり、生魚を食べる点も日本人と共通しているとガールフレンドは言っていた。夏はヨットやボートでフィヨルドに漕ぎ出し魚釣りをし、冬は家族で暖炉を囲んで読書をしている…それがボクのノルウェーのイメージであった。 そう言えば、事件の現場でインタビューしているのをニュースで見て意外だったのは、北アフリカ系とかインド系とおぼしき「有色人種」が何人もテレビに映って居たことだ。ニュース解説によると、近年ノルウェーでは移民誘致政策によって、オスロなど都市部の人口の2~3割近くをイスラム系を中心とする有色人種が占めているそうだ。ボクが滞在していた当時と違って、もはやノルウェー人といっても「金髪・碧い眼」ではなくなりつつあるということだ。 今回の事件は、労働党政権による移民受け入れ奨励政策を快く思っていなかったキリスト教系の右翼青年による犯行だったそうだ。「欧州のイスラム化」の流れを止めるため、政権本部と、労働党の青少年たちのサマーキャンプを狙って大量殺戮を企てたということらしい。まあ個人的に金髪・碧い眼は好きだが(笑)、現代社会において人種間・異文化間の交流はもはや避けられないことで、やがて劣性遺伝の金髪や碧い眼は淘汰され、優性遺伝の黒に限りなく染まっていく運命なのである。白人至上主義だか何だか知らないが、誰が何と言おうがあと100~200年もすれば血が交じり合って白も黒も黄色もなくなっていることが分からないのだろうか。 まあそんなわけで、ボクのささやかな甘い思い出の国でこんな事件が起きたことは嘆かわしいのだが、ノルウェーみたいな平和で穏やかな小国にもこんな狂信的なキチガイはいるんだという事実を改めて思い知らされたボクであった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
|
|