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カテゴリ:たわごと・仕事・愚痴
ジャカルタにあるホテルのプールサイドのベッドに横たわり、ときおり日本語地元紙から目を離して正面に建つビルの背後に広がる青い空に浮かぶ南国の白い雲をボーっと眺めながら、ひとりで贅沢な週末の時間を過ごしている自分にちょっとだけ罪悪感を感じつつ日本にいる妻は今頃何をしているだろううかとふと思う。
24時間オープンのジムでほぼ毎日筋トレしトレッドミルで走り、プールで泳いでサウナや温泉で寛いでいる。普段は筋トレなどしないのだが、スカイプでオレの上半身を見た妻に「胸板が薄くなった」と指摘されたので、「胸板が厚い方が好き」だという妻に迎合しプレスマシンなどで鍛えている。ここ1週間やそこらでだいぶ上半身ががっちりしてきた。 日本を離れてもう3週間が経つ。日本の生活に疲れて出奔したとか、そういう話ではない。日本の会社に雇ってもらって9か月、過去半年やそこらの間に7回海外出張し、インドネシアはこれが2回目である。 自分は赤道直下にかなり近いところにいるはずなのだが、ジャカルタはすっかり都市化していてヤシの木も見掛けなければ南国の蝶やトンボも滅多に見掛けない。こうして過ごしていると、先進国の大都会にいるのと何も変わらない。ときどき定期的にイスラムのお祈りの読経みたいな音声が街中に大音量で流れて、ああやっぱりここは異国なんだなとふと思う。 プールでは若い東洋人の夫婦と4~5歳くらいの子供が水遊びをしている。話しているのは現地語だ。プールサイドのビーチパラソルの下にはブランド物のバッグが置かれていた。インドネシアの富裕層の多くは中国系だが、彼らもきっとそうなのだろう。 パラソルの下には小柄なインドネシア人の若い女が待機していて、時たまプールから出た子供の世話をしていたりする。いわゆるベビーシッター兼女中といった感じか。日本の倍の人口がいるこの国は労働力が豊富で、農村出身者などの貧困層はきっと日給千円とか2千円とかいった報酬でこういった仕事をしている。小柄で色黒な感じが亡くなった祖母を思い起こさせる。 そういえば祖母は若い頃“ご奉公”とかいって、東京の教育家の家で女中をしていたのだった。日本経済のおかげで今はインドネシアの富裕層並みの生活をしているオレも、ほんの2世代遡ればこの女中と同じ社会階層にいたんだよなあ...と思う。この女中も何十年後かには日本だのアメリカで仕事をしている孫のことを自慢しているだろうか。 「祖母が自慢」とかいうと、妻にまた「うぬ惚れ」だとか言われそうだ。前の晩、妻とスカイプで話していて自分のことを「素敵な旦那さま」とか言ったら「自惚れだ」と言われた。いや、それは、たまたま仕事帰りに妻と待ち合わせした時、たまたま妻と一緒にいた妻の知人に言われた言葉を冗談でそのままつかっただけなのだが、男のナルシズムを毛嫌いしている硬派な妻にはそういう冗談は通じないのだ。たまにジムの鏡を見ながら「だいぶ腹が引き締まったな」とか自分の肉体を観察していることなど妻には言わないほうがいい。 3週間日本を留守にしている間に首都圏では春一番が吹いて最高気温が20度にまで上がったりしているらしい。日本を出た日の最低気温は2度だったのだが、常夏のジャカルタから帰国したら今度は春か。なんだか冬らしい冬を経験せずにちょっぴり損した気持ちがする。 帰国しても1週間したら今度は3回目の香港出張だ。新婚1年少々なのに、出張やら何やらでこれまでの同居期間は半年程度だ(笑)。結婚相手がカナダ人やアメリカ人女性だったら今頃とっくに離婚されているか会社を辞めさせられているだろう(笑)。つーか、鈍感なオレが気づいていないだけで、妻の内心で何が起きているかは知る由もない。妻に離婚されたらオレもカナダに泣く泣く戻るしかない。あるいは、貯金をはたいてジャカルタにでも移住して傷心の隠遁生活でも送るか(笑)。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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