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カテゴリ:今日の出来事
人間ドックのオプションで脳MRIを受けた。通常は脳梗塞やクモ膜下出血の危険察知のために受診するらしいのだが、私の場合脳ドックの追加オプションである認知症診断を受けるのが主目的である。脳ドックだけで計3万円。今月で53歳になるが、視力と記憶力の急激な低下は日常業務に支障を来たす域に到達している。何か気質的な異常があるのかはっきりさせたかったのである。
地下二階にあるMRIの検査室に入るとBGMがなっていた。ロックかラップか分からないが単調な4ビートである。嫌いなリズムではない。うるさくてすいませんね、と検査技師が言った。私はようやくそれがMRIの機械が発するノイズであることを理解した。聴いているうちに曲想が湧いてきそうな軽妙なリズムだ。 横たわると頭を固定され、パニックボタンを持たされた。中には閉所恐怖症の人がMRIの機械に入れられてパニックを起こしたりするらしい。私自身は極めてリラックスしていたつもりだったが、ボタンを渡されてすぐ、頭を動かせないことに改めて気づいた途端、不安感が鎌をもたげてきて少し焦った。 MRIの機械の中に入ると、まるで聴力検査のように右と左の耳に異なる波長、音量のノイズが浴びせられる。あるものは長く単調なリズムがあり、聴いていて身体が小刻みに動いてくる。あるものは耳孔内で不協ノイズを生じ、頭が軽くトリップした感じになる。 そうこうしているうちにリラックスしてきて半覚醒状態になり、自分が妄想しているのか、睡眠状態に入って夢を見ているのか、そんな他愛もないイメージの世界を出たり入ったりするような時間が続く。もうノイズはバックグラウンドに退いている。 突然ノイズが止まり、検査技師のはいこれで終わりですという声で、現実に引き戻される。これで20分くらいのはずなのだが、もっと長かったような感じもする。まあ記憶が途切れていることは確かだ。もうちょっと、あと10分くらい長くてもよかったかな、という中途半端な感じも少しある。 その後、技師の手前、極力平常のように振る舞ったものの、実は寝ボケた状態に近く、元の人間ドックの会場に戻るのにちょっと苦労した。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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