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カテゴリ:たわごと・仕事・愚痴
今から40年前、私が未だ高校生だった頃、RCサクセションの忌野清志郎が「ベイビー、逃げるんだ。」と歌いました。浅田彰が「闘争論」をもじって『逃走論』を著したのもその頃です。 <iframe width="560" height="315" src="https://www.youtube.com/embed/tsuLJS_90Zs?si=xJvlklf3I0aMmo_N" title="YouTube video player" frameborder="0" allow="accelerometer; autoplay; clipboard-write; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture; web-share" referrerpolicy="strict-origin-when-cross-origin" allowfullscreen></iframe> 昭和末期もバブル景気たけなわ、世の中には「オトナになんかならなくても生きていける」と説く若者の教祖がいて、忌野清志郎もその一人でした。 https://plaza.rakuten.co.jp/kameika/diary/200905020000/ 別に彼らに感化されたわけではないのですが、私はもともと「将来、社会に出る」ということを考えたことがないまま年を取り大学4年生になった時もみんながビジネススーツを着て就職活動している時に半ズボンに花柄のTシャツを着て後輩たちとバンドをやって遊んでいました。卒業後はバブル景気に浮かれた日本におさらばするつもりで渡米しアメリカの大学に入学しました。 先週再会した35年前に一緒にバンドをやった日本の大学の後輩たちはというと、当時ボーカルをしていたYは本気でデビューするつもりでいたようですが、結局のところ真面目に就職活動して希望の会社に就職しました。もともと学生時代のお遊びのつもりでバンドをやっていたベーシストのKは学生時代からきちんと準備をした上で希望のマスコミに就職しました。 先週は再会出来なかったギターのMも、バンドを離れた後は真面目に勉強に打ち込んで就職しました。また、バンドのメンバーではなかったけれども一緒に悪いことをして遊んでいた美術サークルの後輩Kも、意外なことに難関をくぐり抜けて大手企業に就職しました。彼らはボクなんかと違ってオトナになったんだ、とその時は思いました。 しかし、マスコミに就職したKを除き、皆数年内にサラリーマンの世界からドロップアウトしました。Yは就職2年少々でイギリス人女性と恋に落ち帰国する彼女に付いてイギリスに渡りました。Mはサラリーマンをしながら東大を受験・合格し再入学しました。Kもサラリーマンをしながら毎日深夜まで勉強し京大大学院に入りました。どうやら彼らは決して「オトナになった」わけではなかったのです。 あれから30余年、Yはロンドンでコンサル会社を自営しています。Mは母校の大学教授になりました。Kは語学大学のイタリア語学部長になりました。ベーシストのKは会社の執行役員になりました。他方、まともにサラリーマンになった同級生たちはというと役職定年だリストラだ退職勧告後バイト生活だ精神を病んで休職だとあまり明るいニュースを聞きません。ドロップアウトした仲間たちが、その後ずっと自分の道を歩んでいることを、当時は不良の先輩だった私は誇りに思っています。 ボクはといえば、いい年して日本に帰って来て一般企業に就職し安泰なサラリーマン生活を過ごしていますが、旧友の中には「学生時代、死ぬ死ぬ言ってたのに、一体いつ死ぬんだ」みたいなことを冗談半分に訊いてくるヤツもいれば、「ドロップアウトしたコイツにだけは劣等感を感じることもあるまい」と思っていたヤツが日本企業でそれなりの役職に就いている事実が受け入れられないのか、やたらとボクに絡んでくるヤツもいます。 忌野清志郎が『ベイビー、逃げるんだ』の中で歌った『ロックはもう卒業だ』と言って髪を切った「生意気だったヤツ」は、きっとそのモデルとなった知り合いがいたのだと思うのですが、その後どうなったのか、と思ってしまいます。すっかり素直になって就職して結婚してそのまま定年退職までサラリーマンを勤め上げたのか、途中で自分を見失って精神を病んで休職・退職したのか、数年でドロップアウトしてまた髪を伸ばし始めたり自分で何か始めたものか。 上司だろうが会社だろうがイヤなことから逃げるのはいいことだと今でも思っています。でも、自分からだけは一生逃げられないとは思う。自分にウソをついている人はいずれ目を逸らしてきた自分が執拗な借金取りのように夜中にドアをドンドンと叩いてくるのに悩まされるんだろうと思う。だから、オトナになっても、自分からは逃げてはダメだと思う。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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