ネウマ譜について
皆様はネウマ譜についてご存知ですか?
音楽大学などで西洋音楽史を履修なさった方はご存知だと思いますが、念のために説明をさせて頂きます。
現在使われている五線譜以前の楽譜で、ネウマと云う音楽記号を使った四線の楽譜のことです。
勿論、最初は一線譜が始まりで、その一本の線の上と下に必要に応じて、付線を行ってメロディを記譜してました。
使用する音域が広がるにつれて、一本の線が二本、三本そして最終的に四本の線で構成された楽譜として完成されました。
しかし、ネウマの記号の特殊性もあって、モノフォニー(単音律旋階)は効率よく記譜出来、演奏もしやすい楽譜なのですが、中世ルネッサンス期から発展してきたポリフォニー(複音律旋階)の記譜は不可能な楽譜です。
それでもバロック期までは使われてきましたが、高度に発達した対位法や和声法の記譜には限界が来て、ついに五線譜が発明されて、四線譜は次第に使われなくなった経緯があります。
最初の対位法は、ネウマの旋律に4度か5度の音階を付け加えた平行旋律が最初だと考えられています。
この唱法をオルガヌムと呼びます。歴史的に見ると「Dominica Resurrectionis ad Missam」の続唱「Victimae paschali laudes」が最初の対位法によるポリフォニーでないかと云う説もあります。
さて、ポリフォニーはそちら専門の方に任せて、私はモノフォニーのネウマ譜に限ってお話を進めていきたいと思います。
とりあえず、youtubeでこのネウマ譜がどのような楽譜で、どのように歌われているかをお聴き下さい。
Kyrie Eleison VIII (Angelis)
このデータはネウマ譜と歌唱とがリアルタイムで映っていますので、判り易いと思います。
この曲は「第8キリエ」と言って、「天使ミサ」に使われているギリシャ語の曲です。
まだヨーロッパに現在のようなハーモニーを持った楽曲が出来る前は、このような歌が歌われておりました。その様子を思い浮かべながらお聴き下さい。
出来るだけ、ネウマ譜についてご説明をさせて頂きたいと思っています。