古い民家の架構調査(骨組み)
おはようございます、紙太材木店の田原です。日々目まぐるしく変わる天気に翻弄されている建築業界、スマホのポイント天気予報もあまり当てにできませんが今日は雨ですね。今週頭は古い民家の架構構造調査(骨組み)昭和3年に建てられた商家ですから今から90年ほど前になります。小屋裏に上がると棟札がありますからそれが分かります。もちろん建てた大工さんの名前も分かっていて西垣捨吉さん上の写真の左下に名前があります。裏書には地鎮祭と上棟式の日にちと引っ越した日まで書いてあります。これを見ると上棟から引っ越しまで4か月しかありません。土壁の乾燥期間としては短いですし梅雨にも重なってます。商家ですから商売優先で一日も早く開店したかったのかもしれませんね。それに当時の家はあまり壁がなく部屋と部屋は襖や障子で仕切られている程度建物の両サイドにあたる東西に壁があるぐらいです。この西垣捨吉大工さんこちらの別の棟札にも名前があります。拡大してみると大工さんの名前が3人その中の一人として名前が出ていますが最初に名前が書かれていませんからどうやら棟梁としてではないようです。一番上の写真では大工職の名前としては西垣さんの名前が一人で出ていますから棟梁と推測されます。これは恐らく建物を建てた時期によるもので3人のうちの一人として出ていた建物は大正7年に上棟してますが一人で名前の出ていたものは昭和3年上棟つまりこの二つの棟札の間には、10年の歳月が流れていることになります。大正時代に建てた建物の時はまだ若く、年季明けして間もなくですが昭和になってからは一人前の大工になって棟梁として建てたということが分かります。実はこの棟札の建物二つとも紙太材木店が建てています。西垣さんが若いときに建てた建物は15年ほど前に再生、今では紙太材木店のショールームになっています。今回は西垣さんが棟梁として建てた建物を再生することになります。90年ほど前に建てられた家で基礎は玉石基礎壁はほとんどなく建具で仕切られた部屋耐震診断の数値は0.3以下このような家でも現代の様々な基準に適合させ十分再生することができます。古い家にお住みの方は頭から無理と思い込んでいるケースが多くありますが壊してしまえばそれまでです。古さの中にこそ価値があるという考えもあります。多くの人の気持ちを惹きつけるのは新興の住宅団地ではなく古い町並みや古民家であることを考えると古い家を壊して新築の住宅を建てることが全てではありません。