トイレの便器を結露させないためすること
こんばんは紙太材木店の田原です。2018年も最後の日になりましたが仕事納めの前日の夜にトイレの水漏れの連絡がありました。トイレの水漏れと言うと普通はボールタップの不具合で便器の中に水がチョロチョロ流れて止まらないというものと便器の給排水の接続箇所の緩みや便器のヒビと言うことが思い浮かぶと思います。しかし、この時期はもっと別な理由があって多くはそれです。それは便器と床の取合い部分の床が濡れているというもので多くは結露です。クッションフロアの床だと濡れていても気づかないケースも多くあると思いますがトイレの床が木質フロアや無垢の木の床材だとすぐに気づきます。便器が結露するというと不思議に思われるかもしれませんが考えてみればごく普通の事です。夏に水の入ったコップの周りが結露するのと同じことが冬の便器の中で起こっています。便器は多くは陶器でできていますから入れ物としては同じ材質です。結露はタンク式でも最近流行りのタンクレスでも同じです。タンクのあるなしにかかわらず便器の中には水が溜まっていますから流すと新しい新鮮な冷たい水が便器の中に溜まります。湿り空気線図で確認すると20度で50%の空気の露点は約9度ですからそれ以下の温度の水が便器に溜まれば便器は結露します。使用すると冷たい水が溜まって結露しますがしばらくすると溜まった水が少しだけ暖かくなって結露は止まるケースもあって使用した後だけ水が漏れるからどこかから水漏れしてると思ってしまいます。便器は陶器ですがその内部は二重構造になっています。便器を上から覗いてみると水が溜まっているところがありますがその部分の外側に結露しますが本体は二重の別構造ですから外からは結露しているようには見えません。トイレは普通暖房されていません、LDKが暖房され、加湿器もあったりである程度湿度もあるということになるとその水蒸気は蒸気分圧の差によってLDKから拡散していきます。そして寒くて冷たいところで結露することになります。一般の家庭だとLDKで暖房して加湿されていると2階の出窓や使っていない部屋の窓北側にあるトイレや脱衣室、浴室の窓も結露している可能性が高いです。空気は温度はによって含んでいられる水蒸気の量に違いがあって温度が高いと多くの水蒸気を空気の中に含むことができますが温度が低くなるにつれ少ししか水蒸気を含むことができません。LDKが20度で暖房されていても廊下は15度トイレは12度トイレの便器の周りの床は10度便器の中の2重構造になった水の溜まる陶器の表面の空気が9度であれば結露するということになります。さて、対策です。一般には換気によって結露を防止するということが言われますがこれは換気によって水蒸気を排出することで露点を下げようというものです。20度で湿度50%の空気の露点は9度ですが同じ20度で湿度30%の空気の露点は約2度です。そもそも結露は室内の空気に水蒸気があり過ぎるから結露するんだから水蒸気を少なくしてやれば結露は起こらないという考えですが湿度を下げる方法は換気だけでなく温度を上げてあげる事で相対湿度は下がります。便器の中の流したすぐ後の入れ替わった水の温度を上げることはできなくてもその陶器のすぐ際の空気の温度を上げてあげることはできます。気温を上げてあげることで露点以下になる空気の量は限りなく少なくなります。便器を結露させない方法はトイレを十分暖かくしてあげることです。今年も無事一年を過ごすことができました。省エネ基準の義務化が一歩後退したりしましたが住まいの性能向上への道は大きな流れで止めようがありません。来年は消費税のアップがありその反動も懸念されますが何がどう変化するのか・・・いつもお読みいただいている皆様には心より感謝申し上げます。来年もどうぞよろしくお願いいたします。参考文献 建築技術 2018年1月号