住まいのアイデンティティー
こんばんは、紙太材木店の田原です。2019年もあとわずか年末は毎日新年のお正月準備です。一般の方には馴染みがありませんが、古くからの商家ではお正月を迎えるのに様々な準備をします。お松を迎える松迎えとも言いますが、門松やお供えに使う松を山から切ってくることを言います。松くい虫の問題もありますが、山に行っても門松にちょうどいい松というのはなかなかありません。あっちこっち山の中を探すことになります。もちろん、松だけでなくウラジロも(気になる方は検索してくださいね)紙太材木店の場合、自社の山がありますから自分の山に取りに行くことができます。一般の方も正月用の松は何所の誰の山でも取りに行くことができますが、そんな風習もほとんど忘れ去られています。それに加えて鏡餅…もちろん、もち米ををついて作ります。スーパーで買ってくるのではなく、竈(かまど)でもち米を蒸してそれをついて鏡餅を作ります。大きな鏡餅が3組小さなものが14組組とするのは2段重ねにしますから、その倍の数の御餅をつくるということになります。それに合わせて大根、田造り、黒豆、松葉、紙垂(しで)、懐紙を用意しなければなりません。神様には南天の葉とお神酒の準備も…紙垂も普段お目にかかるのは、地鎮祭の時に四方に回した縄にひらひらと取付けてある紙、もしくはお宮のしめ縄などに使われている白いひらひらの紙でしょうか。さて、長々とお正月の準備の事を書いてきましたが、上のお話しは日本の文化の話です。紙太材木店では住宅を作ってます。住まいはある意味文化の結晶という側面がありますが、現代の住まいの多くは、無国籍あるいはナチュラルモダンスタイルッシュモダン、シンプルモダンetc何が違うのかよくわかりません。よその国のマネや、どこかから借りてきたもの、北海道でも九州でもシリーズが同じなら同じデザイン…そういうものではなく、普遍的な日本の文化を表すような住宅であるべきだと思います。だからと言って瓦に和室に床の間の家ではありません。新し時代にあった性能と日本的な文化がどこかしらにあるデザインを備えた住まい、そんな住宅を作っていくべきだと思います。私たちのアイデンティティーは歴史と文化のある日本にあるのですから。今年も一年ありがとうございます。2020年も宜しくお願いいたします。