地産地消
おはようございます、紙太材木店の田原です。桜が知らぬ間に満開になり暖かい日が続きます。筍も既に出始めていて、昨日竹藪を見に行くと、既に大きくなりすぎているものがありました。それはそれでいいのですが昨年より3週間も早いことになります。明らかに温暖化の影響でしょうから、建築人としては次の世代の為にすべきことは山のようにあります。先日、城屋敷の家に破風や垂木、広小舞といった削りものを持っていきました。近藤大工さんが作業場で加工したもので二日ほどかけてカンナで削ったり、溝を突いたりして加工したものです。一昔ほど前であればこのような加工材を運んで入る車が数多く見られましたが、最近はとんと目にしません。上記の材料の多くは窯業系のサイディングや新建材に置き換わっていますから、工場や建材店から直送されることになります。(もちろん、窯業系のサイディングですから製造過程ではかなりのCO2が出ます)破風は軒先にこのように取り付けます。二本の溝がありますが2枚の破風を継いだ時に目違いが起きないように、ここに木の板を差し込みます。もともと目の詰まった柾目の材料を使ってますから反って段違いになるようなことは少ないのですが、片方の面だけが雨や強い日差しにさらされますから20年、30年あるいは40年、50年と言うスパンを考えれば対策が必要です。取り付けた破風の小口を見ると柾目が分かります。気の長い方は年輪を数えてみてください。この破風の材料は米松のピーラーというものでアメリカから輸入されているものです。目が詰まって美しく耐久性がありますから伊礼さんなど意匠系の建築家の多くが使ってますが、値段が高騰しています。輸入商社が言うにはアメリカと中国の景気が好調で日本向けには材が回ってこない挙句に輸送コストも上がっているとかアメリカやカナダからの輸入木材全般在来木造の構造材、2x4材も含め既に㎥3あたり1万~1.5万の値上げ通知が来ています。紙太材木店では柱や土台、大引きなどは地場の東濃桧を使ってますが、梁や桁と言った横架材は米松を使っています。今後はこれらの材料も地場産のものに変えていくつもりですが、横架材となると桧か杉と言うことになりそうです。この地域では昔から桧が豊富で杉を横架材で使うことはありませんでしたが、地産地消やCO2の削減などを考えると杉を横架材で使うことも時代の流れかもしれません。となると、破風はどうしようか?となるのですが今のところ妙案がありません。杉板にしてガルバリウムを巻いてしまうというやり方もあるのですがなんだか…屋根を二重にして通気層を取って軒先の鼻隠しを付けない、つまり京都の町屋の軒先は垂木と屋根板が下から見えますがあれに近い形で、ある意味先祖帰りしたような屋根のイメージでしょうか。無理のない無駄のない、余分な装飾の無いシンプルな形が将来の日本の家の外観。高度成長期に入る前の日本の家の外観に近い形と言うことになります。