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カテゴリ:古い民家の再生
おはようございます、 紙太材木店の田原です。 快晴で現場の作業は順調に進んでいます。 30度近くの気温に体が慣れていなくて 疲労感の残る朝ですが ビールが美味しく飲めるのはありがたい。 上の写真は蔵の屋根の葺き替えをするため 瓦を取り除いてたところですが 蔵と言うのは大切なものを保管しておくところですから 防火、つまり火事にあっても焼けない工夫がしてあります。 簡単に言えば外側、つまり外壁や屋根、軒の裏まで全て土や漆喰で塗られています。 火が迫ってきても簡単には燃えないようにされているんですね。 上の写真は蔵の下屋根の瓦を取り除いたところですが その裏側(軒裏)はこんな具合です。 独立した柱も、梁や桁、屋根のすぐ下にある母屋と言われる材料まで全て 塗り込められています。 その厚さ4センチほどで表面には厚さが2~3ミリほどの漆喰が塗ってあります。 瓦を取り除いた屋根を見てみましょう。 縦に流れる垂木と呼ばれる屋根を形作る木がありますが 全面に鏝で押さえた土が塗りこめられています。 正面から見るとこんな具合です。 一般の住宅の場合はこんなところに土は入れなくて なにもない空間になってますが 何故入っているかと言うと 二枚目の写真で見た 軒裏の天井に防火のための土と漆喰が塗られていることに関係します。 日本の古い家では普通だった土壁 土壁は柱と柱の間に竹と縄で土を固定するための下地を作ります。 それに土を何回か擦り込んで厚さが4センチ~7センチほどの壁をつくります。 それと同じようなことを屋根でしてるんですね。 つまり垂木と垂木の間に竹と縄で下地を作って そこに土を塗り、その上側は杉皮を張って瓦を載せて 下側も同様に土を塗って、漆喰で綺麗に仕上げているということになります。 塗れて柔らかい土を上に向かって塗るのはとても手間がかかります。 柔らかすぎれば固まる前に落ちてしまいますし きちんと食い込んでいなければ竹や縄との間に隙間が出来てしまいます。 このような工事のできる左官屋さんは現代では限られますし そもそもやり方が分からない、やったこともない人が大半で 出来るとすれば60代を越えているでしょう。 昔と同じ方法で古い家を直そうとすると それはそれは手間がかかります。 つまり、ほとんど同じ方法では直らない、 あるいは直せないというケースが多くあります。 だからこそ、傷む前に早め早めに直して 一日でも長く建てられた当時にままの姿を残したいものです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2019年05月24日 09時26分15秒
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