|
カテゴリ:まあだだよ
見ました。2回も。
映画史上に残るであろう、名作です。こういう映画をアメリカ人がつくったことが、まず何よりも素晴らしいと思う。 ◎登場人物に英語を話させず(「SAYURI」みたいにね)、あえて全編日本語で通したクリント・イーストウッド監督は偉い! 一般的にアメリカ人は字幕映画が苦手なので、全編日本語(英語字幕つき)にすると決定した時点で、商業的な大成功は諦めたはず。それでもあえて日本語で製作してくれて、本当に嬉しい。英語では絶対成り立たない映画だから。 そして日本語という外国語で撮ったにもかかわらず、日本人が見ても素晴らしい完成度の映画をつくったクリント・イーストウッドは、やっぱり偉い! ◎すっかり渡辺謙を食ってしまった二宮和也くんはすごい!! 前にいくつかドラマを見て、演技派だなあ、と思ってはいたけれど、この映画の彼は本当に素晴らしかったです。 惜しいのは、字幕では演技の素晴らしさの100%全てが伝わらなかったこと。例えば奥さんへの手紙を読むナレーションや、「なあ、清水…」と話しかける彼の声にあふれる情感は、ただ字幕を呼んでいるだけではわからないと思う。 ◎栗林中将に関する資料をたくさん読み、監督にいろいろ提案した渡辺謙は偉い! 詳しくは文芸春秋2007年1月号に載っていますが、例えば監督は、中将最期のシーンを「切腹」にしたかったらしい。でも、渡辺謙さんが、栗林中将は「切腹」的な精神とは離れたところにいた人であり、切腹はしなかった筈だ、と資料を提示して監督を説得したそうです。 と、話は尽きないのですが。 アメリカなので、当然日本語のせりふを聞きながら字幕を読む、という形になったのだけれど、例えば「憲兵隊」は「Kenpeitai」、「大和魂」は「spirit of Yamato」、「靖国神社」は「Yasukuni Shrine」とだけ訳してあって、よほど日本通の人以外は、ここら辺の細かいことは理解できなかったと思う。それから千人針の腹巻が効果的に使われているシーンがいくつかあったんだけど、千人針もただ「thousand stitches」とそのまま訳しただけで、説明がありませんでした。 説明カットを入れれば日本人以外の人にも判りやすいのにな、と思ったけれど、某所で監督のインタビューを見て納得。監督は、これは日本映画のつもりで撮ったのだそう。確かに、日本映画だったら説明しなくていいものね。 政府がアホな選択をしたおかげで、国家同士が戦争に突入することになると、いちばん損するのは前線で戦う一般の人々なんだよね。そして、戦場で兵士達が家族を思う気もちや、母国にいる家族の兵士達への思いは、無事に帰りたい、無事に帰ってきて欲しい、ただそれだけ。アメリカ人も日本人も関係ない。 そして、残念ながら、戦争という極限状況の中で、とんでもない残虐な行動に出てしまう人間の弱さや狂気についても、同じ。アメリカ人も、日本人も、同じようにひどいことをする人がいる。それが、とてもうまく描かれていました。 私は、縁あってアメリカ人と結婚し、アメリカに住み、将来おそらくアメリカ国籍を選ぶであろう子供達を育てているわけですが、ちょっと前だったらこういう生活も不可能だったんだなあ、とひしひしと痛感しました。あらためて、平和(まあ日米間はとりあえず平和ということですが)のありがたみと、これを当たり前と思って享受してはいけないな、ちゃんと歴史を子供達にも伝えていかなければ、と思いました。 ちなみに「父親たちの星条旗」の方は見てないので、DVDが出たら借りるつもりです。 そうそう、うちのだんなは、映画を見た当日は悪夢を立て続けに見てほとんど眠れぬ夜を過ごし、 その後2日間は、落ち込んで仕事にならなかったそうです。 さて、この映画、いちばん見せたいやつは、ブッシュだな。 あ、見せてもきっと、なーんとも思わないかな。(怒) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
|