ブルース好きを公言するなら決して避けては通れない、世界に誇れる古典的オムニバスアルバム。1971年、私が今では何故か食べられなくなってしまった納豆かけご飯を弟と奪い合っていた頃、日本ビクターから発売された3枚組LPレコードの復刻盤。1994年の初CD化から実に15年が経過したにもかかわらず、未だに廃盤の憂き目に遭わずカタログに残り続けているというのが凄い。最早文化遺産と言っていいでしょう。
中学時代にビートルズに薫陶を受けてから多種多彩な音楽を聴いてきましたが、このレコードの存在を知ったのが確か20歳頃。当時は既に入手困難で、ディスク・ユニオン横浜関内店で中古盤を見つけた時には狂喜乱舞したものでした(1万円の値付けも安いと思えたくらい)。CBSソニー盤のロバート・ジョンスンのレコードと共に、毎日聴き狂いましたねえ。
久々に聴き返してみましたが、当時の感動は色褪せず。所謂「戦前ブルース」の古典的楽曲が地域別、スタイル別に散りばめられています。ブラインド・レモン・ジェファースンを代表とするテキサス・ブルースについてはビクターレーベルの録音対象から外れており未収録ですが、トミー・ジョンスン、スリーピー・ジョン・エスティス、サン・ボンズ、トミー・マックレナン、サニー・ボーイ・ウィリアムスンetc、全く枚挙に暇がない!
監修の中村とうよう御大、そして若き日の日暮泰文、鈴木啓志両氏によるブルースに対する熱意と愛情溢れる解説書、歌詞・対訳付きという体裁も有難い、黒人音楽愛好家の必携盤。一生の宝物となること請け合いです!