先日NHK衛星第2でひっそりと放映された、フォークソング愛好家には堪えられない極上のプログラムを鑑賞しました。いやー録画しておいて本当に良かった!出世曲「グリーンフィールズ」「七つの水仙」「遥かなるアラモ」、フォークの古典「わが祖国」「花は何処へ行った」「グリーンスリーブス」「永遠の絆」etc、名曲のオンパレード。おまけに我が国のカレッジフォークの代名詞的傑作「あの素晴らしい愛をもう一度」の英語詩カバーという思いがけないサプライズ!かくして私の涙腺は脆くも決壊するのでありました。
嘗てはケネディ大統領の就任式でも演奏したという国民的フォーク・ユニットであったブラザーズ・フォア。今や懐メロ的オールド・スタイルであることは否めませんが、結成当時からの最後の生き残りボブ・フリックを筆頭に平均年齢70歳近いと思われる4人のブラザーが奏でるアコースティックギター、バンジョー、ウッドベースと老練なコーラスが醸し出す幽玄の世界に、観客の皆さんは大いに満足されたに違いない!アンコールナンバー「500マイル」「こげよマイケル」が響き渡る中、会場・東京国際フォーラムには馥郁たるラッパズイセンの香りが漂ったことでしょう。近いうちに再来日してくれないかしら。
1963年のワシントン大行進で最高潮に達した公民権運動の隆盛と逆行するように、ブラザーズ・フォアのようなスタイルは急速に忘れ去られていきました。一方でボブ・ディランに代表されるプロテストソング(政治的抵抗の歌)の担い手達が台頭し、さらにはエレクトリック化したフォークソング=フォークロックの勃興という米国ポピュラー音楽史上最大と言っても過言ではない大変革期へと繋がる訳ですが(フォークロックの最重要グループ、ザ・バーズについては後日書きます)、そのような荒波渦巻く音楽ビジネスの世界で、独自のスタイルを半世紀の長きに渡り今日まで堅持し続けてきた彼らの姿は尊ばれるべきと思います。その意味では日本の聴衆は耳が良い。実際会場はオールドファンを中心にほぼ満員でした。
しかしNHKの企画力は素晴らしい!先日も超貴重なピーター・ポール&マリーの1964年オーストラリア・ライブ映像を惜しみなく深夜放映してくれましたし、今後も目が離せません。久しぶりにPP&Mの決定版CDセットを引っ張り出して来ました。今夜はモダン・フォーク三昧といきましょうか。