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2005.03.15
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カテゴリ:レビュー
 ロボットが人々の生活に溶け込み始めた、西暦2035年シカゴ。新型ロボットの発売を控えたUSロボティック社で、ロボット工学の第一人者ラニング博士が謎の死を遂げる。大のロボット嫌い、スプーナー刑事(ウィル・スミス)は、ラニング博士のホログラムに導かれ、その捜査を担当することになる・・・


 大々的にスポットが流されていたら、映像をご覧になった方もおいだろう。人間風の半透明の顔がついた、すこしロボットらしからぬロボットとウィル・スミスの、派手なアクション・シーンなどだ。これからご覧になる方は自宅で見ることになるだろうから、よほどの大画面TVか、ホームシアターでなければ、この映画をCGの迫力だけで「最高!」と言い切るのは難しいかもしれない。ロボットのデザインをはじめとして派手な爆発シーンといったものも、テレビの画面に音だと、CG臭さが見えすぎてしまうのも、興をそぐ。

 が、CGを除いた「アイ、ロボット」には、まだ見所がある。 
 サスペンスとしても「最高!」というほどではないが、通常の(SFでない)サスペンス映画と同じぐらいのひねりや謎解きはある。いや、逆に、SF映画としてはめずらしく、そこそこヒネリのきいたサスペンス魂を持っている。そして何より、実はそのウィットに富んだセリフに、この映画の魅力はある。脱力系クールガイ、ウィル・スミスと同僚や、さまざまな登場人物とのやり取りは、時にニヤリとおもしろく、また、ああ、うまいこと言うな、と納得させられたりするセリフが多い。案外ウィル・スミス本人のアドリブも入っているのかもしれないが、ストーリーに絡んだところにも垣間見えるウィットは、やはり脚本家アキヴァ・ゴールズマン(実は、彼はかのアカデミー受賞作「ビューティフル・マインド」や「依頼人」の脚本家であり、スピルバーグ製作の芸者映画「SAYURI」の脚本は彼の手による)と、この映画の原案者でもあるジェフ・ヴィンターによるところが大きいのだろう。変に知的ではない小粋さを楽しめるSFとして、推薦しておこう。

 ところで、「アイ、ロボット」と聞くと、あのSF文学の巨頭、アイザック・アシモフが1950年に発表した短編集を思い出す人も多いだろうが、この映画はアシモフを映画化したものではまったくない。原作に着想を得た、インスパイア映画(?)の類である。アシモフの「われはロボット」に出てくるロボット三原則、

第一条:ロボットは人間に危害を加えてはならない.また,その危険を看過することによって,人間に危害を及ぼしてはならない.
第二条:ロボットは人間にあたえられた命令に服従しなければならない.ただし,あたえられた命令が,第一条に反する場合は,この限りでない.
第三条:ロボットは,前掲第一条および第二条に反するおそれのないかぎり,自己をまもらなければならない.

を大前提としてロボットが活躍する近未来社会をリアルに映像化して見せたことが、同じアシモフからのインスパイア映画「アンドリューNDR114」などのセンチメンタリズムとは違った醍醐味であろう。

映画として 7/10
サスペンスアクションとして 7.5/10
CGの醍醐味 6.8/10


以下、結末も含むネタバレがふくまれますので、ご注意ください

 実はこの映画は、アシモフのロボット三原則の使い方が悪いと、SFファンたちからは評判が悪いらしい。あの金字塔を全く無視した展開だ、というのがその理由だ。なんといっても、映画ではアシモフを題材にとっているにもかかわらず、人間の危害を与えるはずのないロボットが、バンバン危害を与えまくる。しかも、この三原則をプログラムされていないロボットまで登場するのだ。アシモフにインスパイアされながら、全くそれを反対に使っているというのが、酷評の理由のひとつだろう。
 しかし、あるいは私には、この映画はあの金字塔をしっかりとベースに映像化した上で、そこに新しい物語を作ったところを、評価するべきではないかと思うのだ。それはいわゆる「やおい」に近い発想である。大好きだからこそ、それをベースに新しい物語を作ったのだ。私たちが子供のころ、読んだ本や漫画の世界を、床で夢想したように、である。その原作への愛は、侮辱ではなく、限りなく純粋な愛であるように思う。そもそも、「アイ、ロボット」なんてタイトルなしで、ロボット三原則も引用することなしに、凶暴なロボットが出現する未来社会を描く映画であっても、全く良かったのだから。
 主人公?のロボットサニーが、いわゆる救世主としてロボット世界を切り開くであろう、というラストもまたさわやかだ。ロボットと一騒動あった後の、「人間が完全にロボットを淘汰する社会」で終わるのではなく、ロボットによるロボットのための平和社会が示唆されているラストはなかなか新しい視点だなと思わされた。

 予告編を見たときは、つまらない三文映画なのではないかと思っていたが、そのウィットと、原作への子供心を忘れない愛情に、評価を置いてあげたい作品であった。 








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Last updated  2012.04.08 00:43:58
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