自分らしくいたいから。
実は先月、不妊治療で有名なセントマザー産婦人科にかかった。朝9時の時点で、待合室は6~70名の人々がひしめいていた。カウンセリングを受けて、浜ちゃんは精子採取・凍結を、かんきは卵管造影をすることに。かんきは問題なしだったのだが、浜ちゃんは採取できなかった。「無理だよ」笑いながら報告する浜ちゃん。何で?セントマザー産婦人科は噂にたがわず、すごい病院だった。その日のうちに、治療方針を立てれるのだから。日本全国から、こどもを欲しがる人々が集まるわけだ。「ご主人が単身赴任ということと、母体の年齢を考えると、人工授精」院長の一言に、かんきは頼もしさを感じた。もし、この日浜ちゃんが採取に成功していたら、1週間後には第1回目の人工授精を実行していたかもしれないのだ。でも、浜ちゃんは院長の質問に口を濁すばかり。2人目、欲しくないの?そして、今月浜ちゃんは、「病院へは行かない」と宣言した。そうだね。かんきもこの1ヶ月、色々考えてみた。かんきが浜ちゃんなら、やはり病院で採取なんてできない。2人目ができないのなら、それがかんき達の人生。考えてみたら、周りのママ達の「2人目願望」につられていただけかもしれない。美華子が生まれる前は、不妊治療をすすめられても、「浜ちゃんは自分に原因があるって思い込んでいるから、病院へ行こうなんてプレッシャーかけたくない」「2人っきりの家族でも良いの」と答えられていたんだもの。自分だけの欲望で、浜ちゃんの気持ちを思いやれなくなっていた。本当に大事なものを、失くしてしまうところだった。諦めたのではなくて、本来のかんきに戻れた。だから、今はとても清清しい。