ディスティニー・レイジ 2
帝竜暦27年。
世界大戦開始から五年。
アイ大陸最大の王国エルドラドの暗殺部隊の宿舎。
そこに暗殺部隊隊長、寒波が住んでいた。
エルドラドの暗殺部隊…。
歴史書に載ることはないこの部隊には子供がたくさんいた。
孤児院を焼かれたもの…。
肉親に捨てられたもの…。
全て過去になにかしらあったものばかりだ。
寒波もその一人だった。
両親に捨てられ、孤児院は焼かれ、たどり着いたエルドラドの親戚は寒波を暗殺部隊に売り飛ばした。
寒波は敵国の幹部を殺せば戦争は終結すると考え、暗殺部隊隊長になった。
「寒波…。」
「おぅ、刻神。どうした?」
寒波の部屋の窓、開けっ放しの中に刻神が顔を出す。
「新入り、来たんだろ?」
「おぅ、キルってやつだけど、中々筋がいいやつだ。」
「そっか…。」
ちなみに刻神は医療部隊の手伝いという形で軍に所属していた。
「いつまで続くのかな?この戦争は…。」
「さぁ?まぁ…すぐに終わるはずさ。俺がいるんだし。」
寒波は笑いながら言う。
実際、この後寒波が戦争を終結させるのだが、それは少し先の話。
「寒波隊長殿。」
「!!…オルセー…。」
オルセーとはエルドラドの作戦指揮官であり、寒波の上司でもあった。
「暗殺部隊に動いてほしい。」
「今度はどいつだ?」
寒波は精一杯嫌な顔をする。
「この二人です。」
出された洋紙には二人の顔が書いてあった。
「こいつは…!!」
「セルビアとライカです。」
「知っている!!重臣じゃないか!?」
「そうです。」
「…ついに仕掛けるのか…。」
この事件は後に【星の別れ道】と呼ばれることとなった。