20年前の今日,6年生の男の子が夏休みプール解放中に排水溝に吸い込まれて亡くなるという痛ましい事故がありました。監視員の叫び声を聞いて職員室から走り,引き上げた時はもう手遅れでした。町の水泳大会代表に選ばれたほど泳ぎが達者で,茶目っ気たっぷりの可愛い子でした。ただ泣いてるばかりで担任として何もできない自分が悲しくて情けなくて,あれから20年,毎年欠かさず命日に墓前に参じるのが夏の習慣になりました。ご両親もご家族も僕も歳を重ね,お父さんは2年程前に定年を迎え,奥様と共に穏やかな時を過ごされ,お姉さんは可愛い子宝に恵まれ,弟さんは立派な社会人に成長されました。ご近所にある当時の校長先生のお宅で採れたての夏野菜をたくさん戴き,涙雨に暮れた葬儀の時とは打って変わって雲一つない真夏の日差しの下,当時と変わらぬ子供たちのはしゃぐ声を遠くに聞きながら,事故のあったプールを見下ろす小高い山の上のお墓に参じました。娘たちが幼い頃は一緒に参じていましたが,最近は一人静かに参じるようになり,自分が若かりし頃勤めた小学校の情景がいろいろ思い出されるようになりました。今後どれだけ歳月が過ぎ去っても,きっと僕は毎年ここに帰ってくる,何もできなかった僕にできる唯一のことだから。