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カテゴリ:クラシック
曲の冒頭、弦楽器がそれぞれ裏返しの音程で序奏を始める中、消え入るよな小さなヴァイオリンの独奏が始まります。荒涼とした雰囲気の中、寂寥感を感じさせる独奏ヴァイオリンの旋律・・・
このヴァイオリンの「入り」の部分、楽譜を見るとmf(メゾ・フォルテ)と書いてあります。初めて楽譜を見たときは驚きました。ほとんどの録音が、それこそpp~ppppくらいで演奏されています。弦の序奏に至ってはpppppp?!といった感じです。この音をちゃんと聞こうと思ったら、窓を閉め切って遮音して、エアコンも切って、それでもかなりヴォリュームを上げないと聞こえません。あとで音が大きくなってくると絞らないといけないくらいです。特にこの傾向はいわゆる「高音質CD」だとか「優秀録音」と呼ばれる録音に顕著で、ダイナミックレンジの拡大といってもやりすぎじゃないかと思います。 それはさておき、シベリウス自身の意図ではこの部分はもっと決然とした雰囲気で入るところです。最近の録音ほど入りはか細く繊細な傾向になります。昨日紹介した中ではムター盤が一番小さいようです。諏訪内盤はその次でしょうか。 その後曲は雄大な管弦楽に引き継がれカデンツァへとつながっていきます。昨日挙げたお奨め2枚(*)は、感傷的な表現が抑制された、硬派なイメージですが、技術に偏重した「名手」にありがちなつまらなさとは無縁の感動的な演奏です。 それとは別にキワモノですが、初稿版の演奏がカヴァコス/ヴァンスカ盤です。完成稿は大幅に内容が整理さていますが、初稿ではよく言えば生真面目な展開部が長めにとられていて、バッハ風のカデンツァが付いています(カデンツァが2本立て)。「思いついたもの全部入れちゃった」みたいで冗長な印象をぬぐえません。演奏もいまひとつですが、シベリウスファンなら一度は聴いておくべき演奏です。 昨日のとも4768さんのお奨めでチョン・キョンファ/プレヴィン盤を早速アマゾンで発注してみました。良かったらまた紹介します。 *昨日は4枚挙げましたがうち2枚が聴き比べてみたら他の2枚より内容が薄いように感じたので外しました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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