「ロングトレイルという冒険」―「歩く旅」こそぼくの人生―(加藤則芳)
この著者の作品は「森の聖者」に次いで二冊目アメリカのアパラチアン・トレイル3,500キロ(2,200マイル)を半年かけて歩くというすごい話。同じ歩人でも、ボクの体験などはまるで比べ物にならない。しかしスケールは違っても歩くということに関しては共通点があるもの。自然を楽しみながら連続して何日も歩く。同時に重い荷物を背負う苦も隣り合わせ。四国遍路やヒマラヤのトレッキングの体験と重ねながら読んだ。特に、お遍路体験とは妙に符合するところがある。3,500キロを一気に歩くのをスルーハイカーこれはお遍路では「通し打ち」何度かに分けて歩くのをセクションハイカーお遍路の「区切り打ち」に当たる。そして荷物は1グラムでも軽く、が合言葉お遍路でも「鉛筆一本でも軽く」と言う。長い道中、トレイルを横切る道路から街に出て食料の買い出しなどをするらしい。そういう時に食事などを応援してくれる人がいるこれなどは完全に「お接待」のアメリカ版だと思った。歩く楽しみとしては目標があること1000マイル、2000マイル・・・1000キロ、2000キロ、3000キロそして州境を越える数も・・・実に14の州境を越えるという。アメリカのアウトドアの歴史は自然保護の歴史そのものという言葉が印象に残った。