カテゴリ:読書
我家にはまだ水道はなく井戸水を汲んで バケツで風呂や台所に運んでいた 今は蛇口をひねれば水だけでなく お湯までが出てくる 祖母の藪入りにくっついて隣りの村まで 三時間ほどの山道を歩いた記憶もある 道中の道草も楽しかった 今なら車でひとっ走り、10分で行ける いま、こんな便利な世の中で暮らしながら 便利ならばいいのか、楽をすればいいのか と、自分に問いかけている * この本は現代の科学文明が発達する前の 昔の生活がどのようであったかを うかがい知ることが出来る おそらく我が幼少の頃よりもっと以前の 未開の北海道で暮らしたアイヌの生活 厳しい自然の中での暮らしに思いをはせ 感動しながら読んだ * 冒頭に、知里幸恵「アイヌ神謡集」 序文が引用されている あまりに素晴らしい文なので ここに引用さていただく その昔、この広い北海道は私たちの先祖の自由の天地で ありました。天真らんまんな稚児のように、美しい大自 然に抱擁されてのんびりと楽しく生活していた彼らは、 真に自然の寵児、なんという幸福な人たちであったでしょう。 冬の陸には林野をおおう深雪を蹴って、天地を凍らす 寒気を物ともせず山また山をふみ越えて鹿を狩り、夏の 海には涼風泳ぐみどりの波白いカモメの歌を友に、木の 葉のような小舟を浮かべてひねもす魚を漁り、花咲く春 は軟らかな陽の光を浴びて、とわにさえずる小鳥とともに 歌い暮らしてフキとりヨモギ摘み、紅葉の秋は、野分に 穂そろうススキをわけて宵までサケ撮るかがりも消え、 谷間に友呼ぶ鹿の音を外に、まろやかな月に夢を結ぶ。 ああ何という楽しい生活でしょう。(後略) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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