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徒然なる日々

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2007年06月29日
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カテゴリ:人生論
2週間前に日本で受けた人間ドックの結果がきた。胸のマンモグラフィーを撮ったときに、良性か悪性かの判断を要する石灰化が見られるので、至急再検査を受けるように、と書いてあった。

悪性の石灰化、というのは何だろうとインターネットを検索したら、乳がんであった。

石灰化には、その分布形状や分布位置によって、「明らかに良性」、「悪性の可能性を排除できない」、「悪性の可能性が強い」、「明らかに悪性」と分かれる。私の場合は「悪性の可能性を排除できない」というタイプであった。

インターネットで調べれば調べるほど、奈落の底に落ちていくような気分になってくる。でも心配で不安で、調べることをやめられない。日本で再検査を受ける間もなくサンフランシスコに戻る予定になっていたため、深夜、サンフランシスコの大学病院に国際電話をかけて予約を取る。
それまで抱えていた仕事や職場の人間関係の不満などは、一気にふっとんだ。

仕事をしていても何をしていても、心の片隅に「自分は乳がんかもしれない」という不安が黒い雲のようによどんでいた。

今日、UCSF大学病院に行って、マンモグラフィーの再検査を受けた。こちらでは日本ほど乳房を平べったく圧迫しない。撮影結果が出るまで10分間くらいかかるから、この部屋で待っていてくれと看護婦に言われる。

この10分間は長かった。。。もし癌だと言われたらどうしようか。しこりはなかったのだから癌だとしてもごく初期のはずだけど、がん細胞が広がっている場合は乳房を切除しなくてはならないそうだ。切除しないにしても放射線治療等でずっと病院に通わなくてはならない。日本とアメリカを往復して仕事をしている場合、どうなるんだろう。これからスイス旅行に出かける両親に伝えたほうがいいだろうか。ああ、この緊張感と不安は受験の結果を受け取るときの倍くらいだな。もし癌宣告を受けたら、今日の午後に入っている仕事こなせるだけの精神状態でいられるだろうか。ああ、神様、どうか癌でありませんようにお願いします。

いろいろな思いが胸をよぎり、不安と緊張でじっと座っていられなくなって、部屋をぐるぐる歩き回る。

看護婦が部屋に入ってきた。「The doctor didn't find any calcifications in your breasts」

「石灰化はまったく見られませんでした」という言葉に一瞬耳を疑う。緊張が解けてほっとする。と同時に、日本では石灰化があると言われたのに、良性の石灰化すらないのだろうか。ここのマンモグラフィーの質は大丈夫なのかしら、とまた不安がよぎる。日本みたいに乳房を平べったく圧迫しないと見つからないんじゃないか、とか。「本当に石灰化はなかったんですか?異常なかったんですか?」と何度も聞き返すが、異常はないとのことだった。心配なら日本の病院で再検査をするといいが、こちらの病院では異常は見られないと。

欧米では乳がん患者が多く、早くからマンモグラフィーを受けることが薦められ、UCSFはアメリカでも評判の高い大学病院である。そこが「異常なし」というのだから大丈夫だろう、と安心する。念のため、今度日本に帰ったときに日本の病院に再度行ってみようとは思うが。

SFに戻って6日目。今日は曇り空だけど、私の心からは黒い雲が取れて、青い空が見えた。今回の一件は、「自分の人生でいちばん大切なことは何なのか?」「私はどういう人生を送りたいのか?」という根本的な問いかけについて考える機会を与えてくれた。自分が今まで抱えていると思っていた様々な悩みを別の視点で見るきっかけを与えてくれた。この2週間は辛かったけど、ありがたい経験だった。





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最終更新日  2007年06月30日 10時03分16秒
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