きっと多くの家で
上司が、車を購入するときに担当したディーラーの社員は、30歳目前の女性だったそうだ。 で、彼女には、うちと同じく、姉がいるらしい。 その担当社員は、やはり、うちと同じようなことを両親から言われ、実家を出て、姉妹でアパートを借りて住み始めたそうだ。 きっと、多くの、娘を持つ親というものは、自分たちがかつて結婚した(おそらく20歳代)年齢を上回っても結婚しない娘の将来を心配しているのだろう。 親の若き時代は、「結婚イコール女の幸せ」という言葉を本気で信じていたのだろう。男も、女も。それが、ばかばかしい幻想だと気づいていても、娘には結婚をさせようとする気持ちが、娘自身には、全く理解できない。 確かに、生きとし生けるもの、子孫を残すことは当然のこと、と考える人もいる。それを実行している人もいる。女は、男とは違い、出産できる時期は一生のうち、一時期だけだ。 でも、人間は知的生命体なのだ。そんな単純に、本能だけで生きている生き物ではない。だいたい、女だけが出産しなければいけないこと自体が、納得できなかったりする。子供がほしければ、男であろうと女であろうと、産めばいいのだ。今は男でも出産できる時代なんだから。それなりの手術を受ければ。 もちろん、親たちが心配しているのは、もっとずっと先の、自分たち親が死んだ後の、子供の生活だろう。夫も子も孫もいなくて、さびしい老後を過ごすのではないかと考えているのだ。しかし、子供自身だって、そんなことは想像できている。それがわかっていても、人生をともにしたいと思える相手がいないのだ。人間の異性なら誰でもいい、とは思えない。ボランティア精神で誰かと結婚する気にもなれない。 親が憎いわけではないけれど、親の言葉が、年齢を重ねるほど、耳障りに感じてしまう。