テーマ:海外生活(7774)
カテゴリ:カナダ
ナオコさんの部屋は本当に小さくて、
そこにキーボード、ベッド代わりのダブルのマットレス。 それしか置いてなかった。 ナオコさんはすまなさそうに、 「お布団これしかないから、一緒に寝てもらわないといけないんだけど、イイかな?」 と言った。 部屋の壁に、一枚の写真が貼り付けてあって、 ナオコさんが学校の課題を仕上げている時に何気なく見ると、 そこには仲良さそうに笑う男女がいた。 女の人はナオコさん。 男の人は…誰? でも、写真のナオコさんはとても幸せそうで、 今私の横に居るナオコさんとは別人のようだ。 私が写真を見ているのに気付いたナオコさんは、静かに話し始めた。 「それね、彼だった人。ちょっと前まで」 「あ、そうなんですか」 ちょっと慌てた。 「振られちゃって。ていうか、とられた、かな。若い日本人の子に」 言葉が出ない。 「それで、先生(うちの父のこと)から○○ちゃん(私)の事で電話いただいた時も、 本当はひどい精神状態で、正直お断りしようかな、と思ったの。でもね、 先生の声聞いて、ジャズで頑張れって言って下さって、 で、○○ちゃんにも来てもらおう、って思ってね」 「ごめんなさい、そんな時にお邪魔してしまって…」 「ううん、気にしないでね。おかげで、やっと課題にも手を出せたんだから」 夜、同じ布団でナオコさんと並んで眠る時、 ナオコさんはまた独り言のように話をしてくれた。 「一緒に住んでたの。ここに。でも、今は新しい彼女のところに居るわ。 彼も新しい彼女もバークリーの学生だから、どうしても学校で会っちゃうんだよね。 それがつらくて…」 狭い部屋なのに、何となくガランとしているように感じたのはそのせいだったのか。 剥がせなくてそのままになっている写真。 語り続けるナオコさん。 これは、かなり、やばいぞ。 (続く…長くなるかも…) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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