テーマ:海外生活(7774)
カテゴリ:カナダ
ナオコさんはとても細い。
身体はもちろん、精神的にも。 抱えきれなくなってたんだろうな。一人では。 だからナオコさんの生活に、 過去も、これからも決して踏み込んで来ることの無い私を選んで、 これでもか、というくらい吐き出せるんだろう。 カナダですっかり迷いが無くなった私は、 なんだか母親のような気持ちで、 うんうん、とただ静かにナオコさんの言葉を聞いていた。 何も口出しせず、いつまでもいつまでも聞いていた。 相変わらず暗い表情で笑うナオコさんは、 色々と気を遣ってくれ、ボストンを案内してくれた。 もちろんバークリー音楽院にも連れて行ってくれたが、 私はいつナオコさんの元彼とその彼女に会うか、と心配で 気が気じゃなかった。 だから、案内は今日一日だけで、 あとは自分一人でまわるから、山積みの課題を片付けて下さい、 とお願いした。 ハーバード大学にも行ってみた。 歴史の重さがぎゅうぎゅうに詰まっているようで、 何だか近寄り難かったのを覚えている。 それより、私が一番気に入ったのが、 チンチン電車のようなグリーンラインと呼ばれる電車に乗って、 その窓からの景色が流れていくのを見ること。 私の大好きな映画、「グッド・ウィル・ハンティング」はボストンが舞台。 マット・デイモンが電車に乗って窓の外の景色を見ているシーンがあったが、 初めてそのシーンを観た時、気が付いたら泣いてたっけ。 殆ど何も食べず、コーヒーしか飲まないナオコさんのために、 私は毎日一人観光の帰りにスーパーで色んな食べ物を買って帰っては 無理やり食べさせ、そして、ベッドでまた話を聞き続けた。 そうして一週間が過ぎた頃、ナオコさんが私に言った。 「○○ちゃんのおかげで課題が随分片付いたから、 ○○ちゃんと一緒にニューヨークに行こうと思ってるんだけど」 そう、私の最終目的地はニューヨークだった。 (カナダ滞在記 - 6~ マンハッタン(1) ~ に続く…長っ!) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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