テーマ:海外生活(7774)
カテゴリ:カナダ
ナオコさんの叔母様という女性。
イメージとしては岸恵子みたいな感じ。 そう、やっぱり物凄くカッコイイ人だった。 海外に長く住む日本人に共通すると思うんだけど、 顔立ちが外人ぽくなる…いや、メークの仕方が変わるのか? とにかく、立ち居振る舞いがもう日本人じゃない。 もうすでに日本語よりも英語の方がすっと口から出るようで、 時々おかしな言葉を口にしながら、叔母様は 「で、カナダでは英語を充分にお勉強してきたの?」 「いえ、英語を学びに行ったわけではないので」 とは言わず、「半年じゃ足りないですね」と答えておいた。 叔母様の行きつけのレストランは、小さいけれどお洒落で、 料理もすごく美味しかったのだけど、 ローズマリーが毎日大量に料理を作って食べさせてくれたおかげで すっかり大食漢になってしまった私には少々物足りなかった。 そういえば、ローズマリーは本当に器用にお鍋でご飯を炊いてくれた。 あの渦巻きの電熱線が私はうまく使えず、 料理に失敗してばかりでローズマリーに「仕方が無い子ね」とよく笑われた。 今度はいつ食べられるかな、ローズマリーの手料理。 店を出て、叔母様にお礼を言って別れ、私とナオコさんは次の目的地へ。 私達はライブハウスへ行く約束をしていた。 前の日にライブハウスの予約を取ろうと予定を見ていて、 あの有名なブルーノートでグローバー・ワシントン Jr.が出ると知った。 私は彼の曲を何度か聴いたことがあって、それをすごく気に入っていたので ブルーノートに行きたいとナオコさんに言うと、 ナオコさんも彼が好きらしく、すぐに電話してくれた。 前日なのでもう席は無く、立ち見になるらしい。 それでも聴きたい!私達の意見は一致した。 さすがブルーノート! 人が一杯で始まる前から熱気がすごい。 静かに彼が登場すると、観客席から拍手と歓声が上がる。 演奏を聴いている間、やっぱりまた私は泣けてきて、 でも何だかジャズ、それもグローバー・ワシントン Jr.の 軽くてお洒落なジャズを聴きながら 鼻をグズグズ言わせて泣くのもどうかと思い、 壁にもたれて出来るだけ目立たないようにして聴いていた。 父がサックス奏者だからだろうか。私は昔からサックスの音色が好きだ。 でも父のやるようなジャズではなく、 グローバー・ワシントン Jr.とかケニーGのような 聴いていて寝てしまうくらい心地良いサックスが好き。 心にしみる、ってこういう事を言うんだ。 いつまでも止まらない涙を、私はもう放っておいた。 泣きはらした目をして、私はブルーノートを後にした。 そしてナオコさんと別れて一人バスに乗った。 マンハッタンを東西に行を作るストリートが100番台を過ぎると ちょっと危険な地域になるから乗り過ごさないように、と注意されていたので 停留所に気を付けながら外を眺めていた。 ホテルはMadison Ave.沿いの92ndか93rd st.あたりにあるので、 90の表示を見てすぐに降り、 途中にあるコンビニのような食料品店でお菓子と飲み物を買う。 まだ3日しか滞在していないのに、 その部屋はすっかり私の部屋になっていて、 興奮さめやらぬ家主を「おかえり」と迎えてくれる。 まるでニューヨークにずっと住んでいるような感じ。 グッゲンハイムにいた女の子は可愛かったし、 叔母様は素敵で、食事も美味しかった。 そして、クリムトとグローバー・ワシントン Jr.。 バンクーバー…ボストン…ニューヨーク。 あっぷあっぷしそうだ、一杯一杯だ。 もうご馳走さま。 そう、明日私は日本に帰る。 (続く) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[カナダ] カテゴリの最新記事
|
|