カテゴリ:仕事
アメリカから帰国して、一文無しになってしまった私は、
いつまでも「カナダに帰りたい~」と泣いている訳にも行かず、 また仕事を見つけなくてはならなかった。 半年やそこら海外に行っただけで英語を使う仕事が出来るほど甘くない、 と思ってはいたが、でもその時の私はものすごくハイだった。 「人生何とかなるさ」的な考えで、新聞の求人広告の中で見つけた 「外人モデルクラブマネージャー募集 日常英会話できる人」 を見つけると、即応募した。 友人は皆「それって、怪しいよ、絶対!」と口を揃えたが、 私は「面接行って、確かめてくるから」と気にしなかった。 そして、面接の日。 怪しげなビルの一室。 オフィスはだだっ広いワンルーム。 年齢不詳のホストっぽい男性が一人で面接してくれた。 聞くと、その男性が社長だという。 「あやしぃ~!」と内心思いながら、 半年海外に行っただけ、と知ったらきっと断られるから、まぁいいか。 と思い、そのまま面接を受けた。 社長は大阪では一番大きい外人モデルクラブのマネージャーだったそうで、 そのモデルクラブでスカウトを担当していたアメリカ人と2人で 今回独立する事になったので、その立ち上げスタッフを募集している、との事。 ふーん、そうなんだぁ~、すごぉ~い。 もうほとんど他人事のように聞いていた私に、社長は言った。 「前に勤めてらした会社は私もよく知っているんですよ。 お仕事も一緒にさせていただいたこともありますし」 そうそう、私が以前働いていた会社は広告制作会社。 そういえば、綺麗な外人モデルの女の子が何度か写真部に来てたっけ…。 「この業界の事をよく御存じの方に来ていただけたら、うちとしても助かります」 …え?どういうこと? 「実はマネージャーはもう2人決まっているので、ブッカーとして来ていただけますか?」 ぶ、ぶっ…?なに? いや、業界の事知ってる、って私経理だし…。 「早速明日からでもお願いしたいんですが」 「いや、でも私、たった半年しか…」 「じゃ、明日9時に。マネージャーの子達も来るんで、よろしく」 決めの笑顔(やっぱりホストっぽい!)で社長は立ち上がり、 私は何が何だか訳が分からず、ただ「は、はい…」と答えるだけだった。 エレベーターまで送られ、 「じゃ、お待ちしてますね!」 決めの笑顔が目の前で閉じられた後、 エレベーターの中で私はまだ放心状態だった。 これは、怪しい…? 英語力も試さず、いきなり採用なんて、そんなのありえない。 でも…どこの国からのどんなモデルか知らないけど、 とりあえず英語が話せる…かも? そして、ここでまたカナダとアメリカのおかげで充電満タンの頭が 能天気な答えを弾き出した。 「行くだけ行ってみたらいいじゃん!ヤバそうならその時点でバイバイしよう!」 そして次の日、またまた私はその怪しいビルの一室に行く事になる。 (続く…最近長編ばっかでごめんなさい!) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[仕事] カテゴリの最新記事
|
|