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June 28, 2005
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カテゴリ:ダンナ様
私がカナダから帰国した年の秋、それは発覚した。
始まりは、全くの私のカンだった。
これが「女のカン」というものか~、と自分でも感心したのだが、
こういう時、直感は働くものだ。

その時、私は外人専門のモデル事務所で働いていて、
超多忙で土日も関係なく働いていたので、彼とはなかなか会えない日が続いていた。
そして、最初は不満を漏らしていた彼が、
その内たまに会っても機嫌が良いのに気が付いた。

それどころか、
「仕事、しんどいやろ~」とか、
「身体に気つけなアカンで」なんて
気持ち悪いくらい優しかったりして、
そのくせどこか他を見ているような、気もそぞろみたいな風で、
何となく私は「浮気」だと感付いたのだ。

そこまではよくある話。

自分でもすごいと思ったのは、そんな日が続いていたある日、
彼の部屋で社員全員が写った写真を見せてもらっていた時、
ある一人の女の子に目が止まった。
女子社員の中で、一番キレイだな、と思ったのと、
それとは別の何かが私の中で閃いたからだ。

「この子、キレイやね~」と私が彼に見せると、
「えっ!?そうか?」と彼が言った。
何だか妙に焦っている。
あ、相手はこの子か、と何の証拠もないのに私は確信した。
今から考えてもどうしてそう思ったのかは分からないんだけど。

私はどうしたもんかな、と思案しながらも、
知らないフリをしてしばらく様子を見ていた。
すると、二股なんて器用なことが出来ない彼は、こういう手段に出た。

「俺ら、ちょっと長く付き合いすぎて、なんか倦怠期っていう感じやん?
それで思うんやけど、しばらく距離置けへんか?」

来た来た来たっ!と私は思った。
それもどうしてかは分からないけど、不思議と悲しみはわいてこなかった。
で、ものすごく冷静に
「別れるって事?」と聞いた。
「いやいや、別れるんじゃなくて、ちょっとの間、会うの止めとこ、ていうだけ」

私はすかさず言い返した。
「この前写真に写ってた子やろ?あのキレイな。
それやったらもうイイねんで。ちゃんと別れようよ」

彼は、ものすごくビックリして、うろたえていた。
そして、もうこれ以上は無理、というように白状した。

「うん…実はこの春入社してきた子やねん。
で、何でかわからんけど、俺のこと好き…とかで…」

「その子の方が好きなんやろ?」
「いや、それはまだ分かれへんねんて!」
「あ、それで私の事をしばらくお休みしといて、
その子と遊んでみて、どっちがイイか決めようと思ってるんや」
「イヤ…そんなんじゃ…」

「それは嫌やから、今別れよう!」
私はきっぱり言った。
呆気にとられる彼を放っておいて、私はさっさと帰り支度をした。
「今まで、ありがとう」
そう言って追いかけてくる彼の前でドアを閉めた。

一人の帰り道、さすがにちょっとしんみりしていた。
カナダに行く事を無理して賛成してくれた彼。
国語が苦手で作文が大嫌いなのに、毎日カナダにいる私に手紙を書いてくれた彼。
自転車をこぎながら、泣くのを我慢していた。

その夜、マンションで一人、
まだ別れたんだという実感が湧かないままボーッとしていると、
電話が鳴った。彼からだった。

「あ、居った!良かった!今からそっち行くから、どこにも行くなよ!な!」
それだけ言って、ガシャン!と切れた。

そして、5分も経つか経たないかのうちにチャイムが鳴った。
飛び込んでくるかのように部屋に入ってきた彼は、

「良かった、居って…」と言いながら、
ゼイゼイ言っている。走って来たようだ。

「そりゃ、居るよ」と私が言い終わらないうちに、
「ごめん!」と頭を下げる彼。
「ホンマ、ごめん!」
「別れたないねん、俺」
「は?」

「ホンマに大事なんがどっちか、気つかへんかった俺がアホや」
「カナダから帰ってきてくれて、安心してしもてたんやと思う。
もうどこへも行けへんて」
「向こうにはハッキリ断る、明日会社で断る」

機関銃のように話す彼を、ただボーッと見ていた。
別れたという実感も無いうちに、こういう展開。
どうなってんだ?

「それで、許してくれる?」
と聞かれて、何だか分からないまま
「うん…」
と私は答えた。

「良かったぁ~、ホンマ良かった~」
と喜ぶ彼の横で、
私は何だかこうなることを始めから知っていたような、そんな感覚だった。

彼は約束通り、会社の女の子にキッパリお断りしたようで、
その後、彼の会社の同僚で、私とも仲の良い男の子から
「あいつ、あんな冷たいとこもあったんやな」と言われるくらい
その女の子にハッキリした態度をとっていたらしい。
私がすべて知っている事を承知のその同僚の子は
「しかし、みんな勿体無い事したな~、て言うくらいかわいい子やったんやで~。
その子に勝ったなんて、鼻高々やん」
などと失礼な事を言う。
顔じゃないのよ、顔じゃ!と言い返しながら、実は私も不思議だった。
彼の人生で、こんな綺麗な子に、それも向こうから言い寄られる、
なんて事、この先あるんだろうか。
本当に私で良いのか?

彼は、後日こんな事を言っていた。

「ホンマ、おまえにはかなえへんと思った。
何で俺の事、こんなに分かるんやろ、って。
こんなヤツ、他に居らんて気が付いて。
取り返しのつかん事してしもた、って怖くて怖くて。
間に合ってホンマに良かった」

後で何人かの男友達にこの事を話すと、みんな口を揃えて
「可愛くない女やな~」と言う。
「普通、別れんといて、て泣きついてほしいもんや」

私はそういうタイプじゃない。
可愛くない、と言われても仕方が無い。

でも、泣きついていたら今ごろどうなっていたんだろう。
案外、彼と結婚することもなく、今のこの幸せも無かったのかも。

今でも時々考えることがある。





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Last updated  June 28, 2005 11:13:21 AM
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mayonnaise@ Re:すごぉぉい☆(06/19) you-me1977さん >お久しぶりです! …
you-me1977@ すごぉぉい☆ お久しぶりです! ブログずーっと放置な…
mayonnaise@ Re:(;_;)(05/03) you-me1977さん >いいサイトですね。…
you-me1977@ (;_;) いいサイトですね。。 気が付いたら泣い…
mayonnaise@ お元気ですか~? you-me1977さん お~っ!お久しぶりで…

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