もう1本切ったのは、ひこばえが出ていた10年ものの大でまり。この木には思い入れがあったのですが、幹の中央の部分に瘤があって、病気でした。ひこばえは切るようにと、教えられてきましたが、台風で何度も倒れた桜のひこばえを観察してから、考えが変わってきていたのです。強風で、完全に倒された桜の根元から出た新芽が大きく育ってきているという現実。世代交代かどうか、迷う木もありますので、難しいところです。
ガーデンフィールズで、ポール先生が説明された親木の部分をみると、切り株の中身はぼろぼろでした。でも、出てきたひこばえは健康そのもので、すでに大きな幹になっています。病気の木には、よく観ると、ひこばえが育っていることが多いのです。うちの大でまりもそうです。もう、4、5本のひこばえが出ていました。それでも、素人には踏ん切りがつかないものです。切ってしまうという発想はなかったですね。宝塚で、教えられたときに、まっさきに浮かんだのは、大好きな大でまりのこと。
でも、挿し木をして、苗を作ってから、木を切るのが正解ですので、みなさんがやられるときは、きちんと保険をかけてください。私は大雑把な人間ですので、後悔することも多いのです。ただし、ポール先生は剪定に関しても、木が迷って、中途半端なところから芽が出ないように、枝元から木に沿わせた形で、スパッと切ることを示唆されました。
昔は、テレビ等で、やっかいごとを相談されたご隠居さんが、話をしながら、剪定バサミをパチパチしている場面をみかけましたが、なんだか、わかるような。植物と相対することは、たしかに教えられることばかりです。観察が一番大切なことは、ふだんから心していますが、観ていたところが違いましたね。いつも、より花はたくさん、咲いて実をつけた樹木に、勢いがなかったら、危険信号!最後の花を精一杯、咲かせて、子孫を残そうとしている英知。たしかに、きれいごとではすまない話。