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ドイツでマルチリンガルを育てる

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2012年10月11日
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カテゴリ:子供
先週の水曜日は祝日だった。しかし、恵子の学校では、その日は「遠足」で、休みではなかったので、今週の木曜日、つまり今日が振り替え休日になった。昨日は昼食後家に帰ってもよかった(というよりは、午後4時までには全員学校を出なくてはいけなかった)。恵子は、水曜日は1、2時間目しかなかったので、早めに帰って来た。
せっかくのロングウィークエンドだから、楽しく過ごしてほしいなーと思っていたのに、昨日は、早々と泣かせてしまった・・・・

昨日は、終日雨だったので駅まで車で迎えに行った。その後、すぐにニコちゃんを歯医者に連れて行き、家に戻ってきたら、恵子は、自分の部屋で動画を見ていた。荷物もその辺にほうりっぱなし、昼食も食べ散らかしたままで、なんとなく腹が立ってきた。

奨学金申請するにあたり、昨年度の成績表のコピーが必要だと役所から先週連絡があり、恵子にコピーをもらうように頼んでいた。「成績表のコピーは?」と聞いたら、「あっ、もらうの忘れた。」と言われた。

語学コンテストに参加するときに、電車の事故で、大幅に遅れた。日本の新幹線も1時間以上遅れたら払い戻しがあったと思うが、ドイツでも、特急が大幅に遅れた場合、払い戻し制度があると聞いたので、恵子に確認するようにいったのに、「出来るかどうかわからないと言われた。」と不可解な返事。

1年前から学校の近くの音楽学校でバイオリンのレッスンができるように申し込みをしている。6月にいったん、「空きが出来たので、直ぐに始められます。」と言われたが、「9月からお願いしたい。」と言ったところ、「わかりました。夏休み明けにこちらから連絡します。」と言われた。ところが、全然音沙汰がないので、恵子に音楽学校に電話するように伝えた。

恵子は電話で、「そうですか・・・はい・・・ご親切にありがとうございます。」というような会話をしていた。「どうだった?」と聞いたら、「まだ、私の名前はウェイティングリストにあるんだって。順番が回ってきたら、連絡くれるって・・」と言った。「えー、そんな理不尽な事いわれて、ご親切にありがとうございますなんて、よく納得できるね。信じられない。なぜ、「おかしいんじゃないですか? あとどれぐらい待たないといけないんですか?」っていえないの? もう一度かけて、「母が6月に空きが出来たので、レッスンが出来ますといわれたのに、どうして、まだウェイティングリストなんですか? また1年待たされるんですか?」って聞きなさい。」と強制的に電話を再度かけさせた。
相手は、「夏休み中にいろいろなことがごたごたになってしまい、どうしてそうなったのかわからない。順番は、明日回ってくるかもしれないし、1年後になるかもしれないし、それはわからない。」と言ったそうだ。恵子は、「そうですか、わかりました。」といって、おとなしく引き下がった。私は、その会話を聞いていて、なんで、もっと、怒りを表さないのか? 強気に出ないのか? と歯がゆくて仕方なかった。そう思うなら、私が電話すればいいのだけど、悲しいかな、私のつたないドイツ語では、自分の本音が語れない。興奮すればするほど、ドイツ語が壊滅的になり、相手と会話にならない。子供に、大人と交渉しろというのは、確かに酷なことだと思う。特に、恵子のようなおとなしい子には、難しいと思う。だけど、自分のことだし、本当に自分がその学校でバイオリンを習いたければ、もう少し自分で対処してくれてもいいのに・・・と思う。

恵子は、「夏休み前後にやめる人や入ってくる人がいて、事務方が混乱してしまったのだから、仕方ないよ。」と言った。その一言に、腹が立ってきた。
「事務方が混乱したのは、向こうの責任。こちらには何の過失もないのに、それを理由に、約束を反故するのは、おかしい。何でもかんでもクレームをつけるのは良くないけど、今回の場合は、自分がかなり怒っていることを相手に伝えても問題ない。むしろ、納得していたら、後回しにされて、一生順番は回ってこないと思う。自分が本当にその学校でバイオリンを習いたければ、もう一度電話をして、納得できないことを伝え、実際に自分がウェイティングリストの何番目にいるか、確認しろ!」と怒鳴ってしまった。しかし、恵子は、唇をかんでうつむいたまま。
「恵ちゃんは、人を傷つけたくないと思って、相手の言いなりになることが多いけど、自己主張をしないといけないときもあるんだよ。いつも、いつも、自分の権利だけを叫ぶ人は最低だけど、今回の場合は、自分の権利を主張してもいいと思うよ。ママが電話してあげられないのは悪いと思っているけど、ほんとに自分が得たいものなら、自分で努力すべきだと思う。」といったら、泣きながら自分の部屋に閉じこもってしまった。

あーあ、泣かしちゃった・・・・
恵子にとって、「自己主張をしない」「自分の意見を言わない」「自分というものがない」というワードはタブー。以前、友達に言われて、ものすごく傷ついていた。そこが、彼女の長所でもあるのだけど、いわなくてもわかる・・・という文化ではないから。ドイツで生き抜くのは難しいのではないかと心配になる。だからこそ、ついつい、説教してしまったのだけど、傷跡に塩を塗りこんでしまったような気がする。

本当に恵子は、「あれが欲しい」「これがしたい」というようなことは言わない。「別になくても大丈夫」「別にしなくても大丈夫」といつも言う。弟二人は、四六時中、あれが欲しい、これが欲しい、あれがしたい、これがしたい、と自分の欲求、要求ばっかりを言う。ちょうどその真ん中ぐらいがいいなーと思う。





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最終更新日  2012年10月11日 16時00分26秒
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