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ドイツでマルチリンガルを育てる

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2013年10月03日
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カテゴリ:子供
火曜日、ニコチャンをErgotherapieに連れて行った。
ニコチャンの前にテラピーを受けていた子もニコチャンのあとにテラピーを受けた子も、サッカーで一緒の子たちで、ニコチャンと友達というほど仲良しではないけど、顔と名前は知っている間柄で、みんな1年生。

ニコチャンに前回出された宿題は、正方形の中に3つ正三角形が描いてあり、それを書き写してくることだった。しかし、ニコチャンは、いきなり四角の中に適当に三角を4つ描いた。手本の絵と似ても似つかない。いくつ三角形があるとか、そういうことを全く気にしない。それで、私が3つの三角形をそれぞれ違う色でなぞり、ニコチャンに、それぞれの三角形を同じ3色で書くように指示した。
ニコチャンは、空間認識が甘いというか、大雑把でしか物事をとらえていなくて、細かいことを全く気にしない。
学校の宿題は、1という数字を100回書いてくるとか、2を100回とか、Eを30回、eを30回、など単純な繰り返しが多い。ニコチャンは、マス目とか点線をあまり気にしていないので、はみ出たり小さすぎたり、1マスに2つ文字を書いたりしている。また、数字は、小さいマス目の中に1つおきに書き、1行開けて、また1つ目のマスから1つおきに100個書くようになっている練習帳を使っている。これも、いつの間にか、全部マスをつめて書いていたり、2マス飛ばしていたりしている。100回も書くので、途中で飽きて、遊び始めたりするので、こういうことが起こる。
Ergotherapieの先生にそういう状況を説明した。それで、次回も、パターンを書き写す宿題が用意された。正方形の中に、斜めに7本線が描かれている。先生は、そのうちの1つをニコチャンにためしにその場でやらせた。ニコチャンは、7本線を描いたけど、幅が均等ではないし、正方形から線がはみ出ていた。先生は、それを指摘し、そういうことに気をつけて家でやってくるように指示した。

その後、今回のタスクにはいった。もともと5分遅れで始まったのだが、この時点ですでに残り25分。準備と後片付けもいれると、実際にタスクをこなす時間は10分強。
今回は、ビー玉を右手の小指と薬指で握り、天井からつるされたハンモックにのって、床に落ちているさくらんぼの種を拾い、先生の言った単語がEから始まるときは、青いゴミ箱に、Lからはじまるときは、黄色いゴミ箱に種を投げ入れる、という課題だった。先生の言った単語がEやL以外で始まるときは、何もしない。なぜ、EとLかというと、ニコチャンが今まで学校で習ったアルファベットがEとLだから。Eimer(バケツ)とか、Lama(ラマ)とか、Luft(空気)とかEnte(アヒル)とか、まあ、基本的な単語が多いので、ニコチャンも間違えることなく、簡単にこなせた。Nilpferd(かば)と言われたとき、LでもEでもないということがわかったが、「それは何?」、と言ったので、びっくりした。知っているはずなのに・・・。「Luxus」(贅沢)という単語も、「何?」と質問していた。
Einkauf(買い物)という単語は、Eで始まるのだが、ドイツ語の発音の特徴の一つで、EIは、「エイ」ではなく、「アイ」と発音する。Eは「エ」と習うので、ニコチャンは、堂々と、「EでもLでもない」と言いきった。先生も、出題ミスに気づいたのか、そのことには触れず、スルーしていた。

ニコチャンは、体を動かして何かをすることのほうが、いきいきして物事に取り組む。また、ちょっと頭を使うようなことのほうが、単純作業より楽しんでいるように感じた。

火曜日は、学校から帰ってきて、お昼を食べたら、すぐにErgotherapie。そのあと、ピアノの練習と学校の宿題。
今週から、チェスにも通うことにしたので、そのあと、軽く腹ごしらえをして、午後5時半からチェス。
賢浩もチェスをしているが、ニコチャンが通うのは、小学生、初心者向きのコース。ヨハネス君も来ていたので大喜び。
先週からはじまったので、今週から入ることが出来るのか心配だったが、ヨハネス君とあと3名ほど、今週からの参加だった。ほとんどの保護者は、子供だけをおいて、そのまま帰ってしまったが、私は1時間、一緒に見学させてもらった。
まず、ボードをつかって、駒の動き方の説明。コーチが、「Bauerはどういう動きをするか?」とか、「Springerはどういう動きをするか?」など、質問すると、いろいろな子が手を上げて、答えていた。ニコチャンは、ボードを見るわけでもなく、デイドリーム中、と言う感じだった。ニコチャンのそばに行き、小声で、「先生が何を話しているかわかっている?駒の動き方を説明しているのだよ。Pawnはどう動くかって話だよ。」と説明した。ニコチャンは、「わかっているよ、ママ、あっちにいって」とうるさそうに私を追い払った。
最初の30分は、座学だった。これは、ニコチャンには無理だな、と思った。

しかし、後半30分は、実践。ニコチャンは、3年生ぐらいの女の子と戦ったのだが、女の子は、いきなり、BishopをPawnを飛び越えて動かした。私は、「それはできないよ。Springerだけが飛び越せるのだよ。」と説明した。するとその女の子が、「これがSpringerって今、先生が説明していたじゃない。」と言い張った。私は、「Springerはこれだよ」と馬をさした。そしたら、女の子が、「じゃあ、これ(Bishop)は何?」と聞いてきた。うちでは、いつも英語の名称を使っているので、私は、Bishopをドイツ語で何と言うか知らなかったので、答えられなかった。それで、その女の子が私に不審感を抱いたのか、先生に聞いてみる、と言い出し、先生が来てくれるのをずっと待つことになり、試合は一時中断。最終的に、先生に聞いて、その女の子は納得してくれた。でも、その女の子の知識はその程度だったので、ニコチャンのほうが知識はあり、ニコチャンが優勢。ニコチャンの隣に座っていたヨハネス君も、とても上手で、年上の相手を負かしていた。ヨハネス君もニコチャンも「白」だったのだが、ヨハネス君が、「僕の盤は、白ばっかり。もう僕の楽勝だよ。」といえば、ニコチャンも、「僕の方だって、白ばっかり。黒はこんだけしかない」と張り合う。相手の子達は、「クソ生意気なガキ!」と思ったことだろう。ヨハネス君は、ほんとに数学的天才で、チェスも上手。ニコチャンは、たまたま、相手が出来なさ過ぎただけで、上手なわけではないが、初心者コースなので、これからいろいろ習っていけばいい。座学はつまらなそうにしていたけど、ヨハネス君もいるし、来週からも通う気満々。ひとつ、また習い事が増えた。

水曜日は学校から帰ってきてからすぐにピアノのレッスン。本来は木曜日だが、今週は木曜日が祝日なので、水曜日になった。だから、授業が終わったら、早く帰ってきてね、と念を押した。それなのに、なかなか帰ってこないので、途中まで様子を見に行ったら、帰り道の途中にある幼稚園のフェンスの前で、園庭にいる元クラスメートと話をしていた。

今回で4回目。前回、ピアノの教則本のことについていわれたので、家にあるものを持っていった。PIANO KIDSの2巻目。先生は、それで十分だ、と言ってくれた。1巻目を買う必要はない、と言った。今は難しく感じるけど、もう少ししたら、この本を使います、と言っていた。
今回は、まず、前回の宿題のチェック。ニコチャンは、家で弾くより、先生の前で弾いたほうが上手に弾けた。
Drachenliedという曲は、ハ長調で、ドの音から始まるが、先週はレから弾く練習をした。今回は、一音づつあげて、ミ、ファ、ソ、ラ、シからそれぞれ始めるように指示された。ニコチャンは、あれ、と時々首をかしげる。先生は、「良く気づいたね。E(ミ)からはじめると、3番目の指の音が変だよね。変だと思ったら、黒い鍵盤を弾いてみて、」と言った。ニ長調だったらファがシャープになる、とかそういう説明は全部抜き。そもそも、ニコチャンは、C-Dur(ハ長調)という言葉も知らないし、もちろん、長調とか短調という概念持たない。
先週やったNachtwaechterという曲でも、先生は同じことをニコチャンに要求したが、「はー」とため息をつかれてしまい、「あんまりやりたくない?」と聞いたら、ニコチャンは、「やりたくない」とはっきり言い切った。それで、D,E,G,Aから始めるのは家での宿題になった。

今回は、Bienenstich と Kreistanz という曲を練習した。左手が、「Sekunde」「Terz」になっているところが、新しい。先生は、Sekundeとは何か、Terzとは何か、といちいちニコチャンに説明しない。ニコちゃんの概念では、「ドソ」もしくは、1と5の指で弾くのが「Quinte」、「ファソ」もしくは、1と2の指で弾くのが「Sekunde」、「ミソ」もしくは、1と3の指で弾くのが「Terz」となっている。先生は教えるプロだから、きっとそのやり方であっているのだろう。

去年、音楽のテスト勉強で、賢浩が、インターバルのことを一生懸命覚えていたことを思い出した。ピアノを習っている子は、インターバルについては、習い始めたときからなじみの単語なのだろうが、トランペットでは、そんな単語は出てこない。学校の音楽のテストでは、圧倒的にピアノを習っている子が有利だと思った。

学校の音楽のテストといえば、先日、恵子が電話口で泣いていた。恵子たちの学校は、音楽のテストは実技。自分の得意分野を披露する。恵子の場合は、バイオリン。でも、バイオリンは、個人で習っているわけで、学校には何にも関係ない。それなのに、その実技が音楽の得点になるのは、おかしいと思う。バイオリン、ピアノ、歌、いろいろとあるが、ピアノ以外の子は、たいてい、ピアノの伴奏を必要とする。しかし、ピアノの子は、自分の演奏もあるし、いろいろな子にお願いされるので、需要と供給があわない。恵子は、前回、歌う子がピアノの伴奏を探していたので、自ら申し出て、伴奏をした。しかし、自分の伴奏をみつけることはできず、音楽学校の先生が用意してくれたCDにあわせて演奏した。
今回も、恵子は、歌を披露する友達のため、自ら伴奏を買って出たそうだ。しかし、自分の伴奏は見つけることが出来ず、音楽学校の先生に相談したが、CDも用意できないし、ピアノの伴奏をする子を見つけることも出来ない、と言われたそうだ。その話をしていて、電話口で恵子は泣いていた。
CDがある曲に変更するとか、ピアノの伴奏がいらない曲にしたら?と提案したら、2つ演奏するそうで、ひとつはピアノの伴奏なしのソロ曲なので、二つともソロ曲にするのはよくない、と音楽の先生に言われたそうだ。それに、今から新しい曲を練習する時間もない、と言っていた。あと1ヵ月後なのだが、ピアノを弾いてくれる人がみつかないので、ものすごく落ち込んでいた。
「誰か、ピアノの伴奏だけを弾いて、CDに録音してくれる人はいないの?」と聞いても、「みんな自分のことで忙しくて、そんなことできない」と泣くばかり。かわいそうだけど、どうしようもない。私にできるのは、「伴奏を自分で見つけなくてはいけないというのはおかしい。見つけられないなら、ソロでしても仕方ないはずだ。それで減点するのは間違っている。そもそも個人で習っていることを学校の成績に結びつけるのはおかしい。」と学校に抗議することぐらい。でも、恵子はそれを望まないだろう。
私がピアノが弾けたら・・・と今回ほど強く思ったことはない。






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最終更新日  2013年10月06日 14時00分20秒
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