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カテゴリ:子供
木曜日の夜、恵子が学校から戻ってきた。
30kmほど離れた駅に迎えに行った。 帰り道、恵子が学校でのことをいろいろ話してくれた。 ドイツ語のテストの話になり、「いつもは、本文を読んでここでは作者がどういうことをいいたいのか、とかそういうことを聞かれるテストなんだけど・・・」と言ったので、「それって、日本でもよく出る問題だけど、作者以外は正解はわからないから、ある意味難しいよね。」と私が口を挟んだ。 すると恵子は、「でも、やっぱり、よく読んでみると、伏線があったりして、作者の意図していることがわかったりするんだよね。例えば、カフカなんて・・・・」といって、カフカの作品についてとうとうと語り始めた。さすがに私もカフカの「変身」ぐらいは、どんな内容かは知っているけど、、読んだことはない。「社会常識」として表面的に知っているだけで、そのほかに、カフカがどんな作品を書いたか、もう忘れてしまった。だから、いろいろ説明されても、話についていけなかった。ドイツの高校生にとっては、カフカは、夏目漱石みたいな存在なのかな、と思った。 ニコチャンの部屋にはレゴがものすごくある。でも、一度組み立てて、その後それを壊してしまうと、もう一度同じものを作るのは、ものすごく大変。片付けないで、いつもレゴをその辺に出しっぱなしにしているので、部品が全部混ざってしまい、必要な部品を探すのは、ウォーリーを探せ、よりも難しい。だから、自分の「ファンタジー」で作ることになる。レゴは、そもそも、与えられたとおりに作るより、自分のアイデアで新しいものを創り出すことに醍醐味がある。それは私も理解している。しかし、それなら我が家には、もう十分すぎるほど、レゴがある。その部品を使えば、自分が作りたいものは何でもできると思う。でも、ニコチャンは、次から次へと、新シリーズを欲しがる。結局、買っても、1回だけ作って、あとは、「ファンタジー」の一部の部品として使われるだけなら、わざわざ新しいシリーズを買う必要がないと思う。「1回1回組み立てたものを箱にしまうことが出来なければ、新しいレゴは二度と買わない。」とニコチャンには何度も説明した。でも、片付けられず、レゴが床一面に散らばっている。 昨日も、「部品が探せないから、元の形が作れない。部品を探すのが面倒だから、適当にファンタジーで作るだけ。それなら、もう二度とレゴは買わない。」と宣言したら、恵子が、「でも、レゴは、創造力を働かせて作るものだと思うよ。ファンタジーで作るのは悪いことではないよ。」とニコチャンを擁護した。 でも、ニコチャンの「作品」は、部品を見つけるのが面倒くさいから、その辺の部品をくっつけてつくっただけ。それほど、クリエイティビティがあるようにも思えない。今の段階では、作り方の説明書をみながら、指示通りに作る、というほうが、ニコチャンには大切なのではないだろうか、と私は思っている。 ところが、恵子は、私の考え方には反対で、「最初に宣伝どおりのものを作る楽しみもあるし、その後に自分のアイデアで作る楽しみ方もある、どんな作り方をしても、レゴは、楽しめるから、そんなことニコチャンに言わなくても・・・・」とやんわり私を批判した。 恵子の友達が去年、1年間ニュージーランドに留学した。そのときのホストファミリーの家の息子さんが、レゴファンで、庭に建てた小屋にレゴが一杯。そこが彼のレゴ制作場になっていたそうだ。小さい頃からレゴのファンで、所有しているレゴの数も尋常じゃないらしい。「XXを作って」というと、かなり忠実に作れるそうだ。彼は、大学で、3Dデザインを勉強し、まず、イメージをコンピューター使って製図し、それを元にレゴで作り上げていくという本格さ。レゴ本社(デンマーク)で働くのが夢で応募したそうだ。レゴ本社からレゴが送られてきて、その部品を使って全く別のものを作り上げて送り返せ、という指示だったらしい。本社から送られてきたのは、女の子向けのシリーズだったそうだが、その部品を使って、彼は、メリーゴーランドや観覧車などがある「フェア」を作り上げた。結果、レゴ本社に採用され、念願かなってデンマークで働けることになったそうだ。だから恵子は、ファンタジーで作るのは悪いことではない、むしろすごいことだ、と言った。まあ、確かに、その人のレベルまで行けば、すごいけど、今のニコチャンは、想像力を働かせるというよりは、部品を探し、説明書どおりに作るのが面倒だから、「ファンタジー」と称して作っているようにしか見えない。はっきりいって、その程度のファンタジーなら、2歳や3歳の子でもできるとおもってしまう。 やはり、私は、今のニコチャンに必要なのは、片づけをする、指示通りに物をつくる、ということだと思うのだが、それでは、レゴを作る醍醐味を奪い、創造力を養う邪魔をしていることになるのだろうか? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2013年10月27日 16時44分52秒
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