ドイツでマルチリンガルを育てる

昼前にニコちゃんの学校の校長先生から電話があった。
「お宅の息子さんが、教室でしっこをした（Pinkeln)ので、すぐに校長室まで来てください」と言われた。
私は、ニコちゃんは、教室でお漏らししたのかな？と思ったが、校長室に通され、そこで泣きはらした顔のニコちゃんをみて、事態を悟った。お漏らしなら、Pipi in der Hose　といわれるはずだ。「ニコは、授業中に教室内で立ちションをしました」といわれと時は、本当に目の前が真っ暗になった。
校長は、かなり立腹していた。小１相手に声を荒げることはなかったが、本気で怒っているな、とわかった。「なぜ、そんなことをしたの？」と聞くと、「先生が、なるべく休み時間にトイレに行けと言ったから」と言った。校長は「それは当たり前。でも、授業中には行ってはいけないって先生は言ったの？」と聞いた。「言ってない」と蚊の鳴くような声でニコは返事した。
「そもそも君は先生にトイレに行きたいって、言ったの？」という質問には、「ううん」と否定した。「君は、今日、休み時間にトイレに行った？」と聞かれ、「行った」と答えた。「それでも、またすぐに行きたくなったの？」と聞かれ、うなずいていた。

ニコちゃんの担任は産休に入り、先週から新しい担任になった。その人自身も産休明けで、フルタイムではなく、パートタイム。だから、担任なのだけど、週の半分の授業しか受け持っていない。ニコちゃんは、まだ新しい先生にはなれてなくて、トイレに行きたいといえなかったのではないか？と私は推測し、その考えを校長に伝えた。
その時、担任が校長室に入ってきた。
担任は、「私は廊下で別の生徒の面倒を見ていたので、立ちションをした現場を実際には見てないのですが、ほかの子ども達の話では、J君がニコをそそのかしてやらせたようです。」と言った。
校長は、ニコに向かって、「君は校長室に３０分いて、その間私はずっと君に何があったか説明を求めたのに、結局君は何一つ真実を話さなかった。教室内でおしっこをしたという事実もそうだが、真実を話さなかったことにも私は腹を立てている。普通、１年生には居残りをさせないが、君にはしてもらう。来週の午後、校長室に来なさい。」と言った。そして、「君は、J君が、便器の中の水を飲めといったら飲むのか？」と聞いた。「ううん」というと、「それは、それが汚いとわかっているからだよね。おしっこを教室でするというのも同じくらい汚いことなんだよ。お母さんやお父さんや先生から言われたことはしないといけないが、友達から言われたことは必ずしもする必要はないんだよ。」と諭した。

ニコちゃんは荷物を教室に置いたままだったので、担任と一緒に教室に戻った。
廊下にひとつ机があった。そこは、E君の指定席で、E君は教室内では気が散って集中できないので、一人廊下に座って勉強しているのだそうだ。で、先生は、教室内の子には、プリントの問題をさせて、E君に付きっ切りで教えていたときに、その事件は起こったらしい。いくら教室のドアを開けっ放しとはいえ、先生は授業中に教室の外にいたという事実が、私にはなんか理解できなかった。
もちろん、どんな事情でも、ニコのやったことはありえないほどひどい。ニコちゃんのクラスは学級崩壊状態ではないかと心配になる。
先生は、「ニコは最近、授業中ふらふらばかりしてます。まあ、子どもたちも、担任がかわり、それも担任が２人になって、戸惑っているのかもしれませんね。できる子だとは思うので、もう少し様子を見ましょう」と言った。私はもう少し先生と話したかったのだが、「子供の迎えの時間があるので」と切り上げられてしまった。

ニコちゃんにおしっこを教室でするように言ったJ君は、２ヶ月前に２年生から落第してきた子。Ergotherapieでも毎週会う。どうやら、うちの近所に住んでいるようで、この前の水曜日は遊ぼうと突然うちに誘いに来た。でも、今日の１件で、もう一緒に遊んで欲しくないなーと思ってしまった。まあ、類は友を呼ぶというから、ニコちゃんの程度も悪いのだろうけど、朱に交われば赤くなるという言葉もあるから、なるべくおとなしい子と遊んで欲しいなー。

それにしても、この小学校には恵子も賢浩も通い、その当時から校長先生は同じ人だが、今日初めてお話をした。それがこんな機会だなんて、情けない・・・