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カテゴリ:子供
3週間前から賢浩は新聞配達のバイトを始めた。
新聞配達といっても、朝刊を配るバイトは子供はできない。 13歳以上の子供ができるバイトは、広報誌と広告を各戸に配るバイト。 子供の間ではかなりポピュラーなバイトだ。そもそも、ほかにバイトできるような場所が田舎だからないので、手っ取り早くお小遣いをためようと思ったら、ほかに選択肢はない。 私は、町中の家に配達するのかと思っていたが、そうではなかった。町の中を細かく分けて、賢浩が担当するのは、うちの近くの125軒分。週に1回で、配るのに2時間程度かかる。 昨日は、その配達日だった。 前日に広告が届けれら、お昼ごろ新聞(広報誌)が届けられた。家の玄関前に何も言わずにどさっと置かれる。梱包を解いて、広報誌の中に6種類の広告をはさみ入れる。これが結構面倒な作業だった。 昨日は雨だったので、濡れないように気をつけなくてはならず、配るのは余計大半だった。 東京の実家では、日経新聞をとっていたが、雨の日は、一部づつビニール袋に入っていて、サービスがいいなーと感心した。もちろん、ドイツでは、絶対にありえないサービスだと思った。 私が玄関で、賢浩と一緒に新聞に広告を挟む作業をしていたら、何度もニコちゃんが覗きに来た。 ニコちゃんは、昨日はコーラスがあったので、それまでに宿題を終えるようにいったのだが、玄関の作業が気になって集中できないようだった。算数の宿題では、私がいないのをいいことに、電卓を使って計算していた。 コーラスから戻ってきて、残りの宿題をさせた。その前の日も宿題がなかなか終わらず、なんと9時までかかった。そのせいで、ピアノの練習ができなかった。それで、昨日は、スピードアップさせたかったのに、相変わらず遅いし、やる気もないので、とうとう堪忍袋の緒が切れて、「ママの言うことを聞かないで、いいわけばかりする子はうちにいらない」といって、テラスにつまみ出した。 しばらくして様子を見に行ったら、ニコちゃんは、庭にいなかった。私としては。「ママ、ごめんなさい。ちゃんとママの言うこと聞くから中にいれて!」という一言を期待していたのだが、本人がどこかに消えていた。公園か近所のヨハネス君の家にでも行ったのだろう、と思っていたが、サッカーの練習の時間になっても帰ってこないので、賢浩にヨハネス君の家に迎えに行かせた。しかし、そこにもいなかった。 それから30分ぐらいして、ようやくうちに戻ってきた。「どこに行ってたの?」と聞いたら、「遊歩道を散歩してきた」と言われた。全く反省の色がなく、結局は心配した分私の白髪が増えただけの結果に終わった。 夜寝る前に恵子から電話があった。 火曜日に恵子は、職安で、進路相談を受けていた。 恵子のように飛びぬけて成績がいい子は、あまり考えずに、たいてい医学部か法学部に進学する。周りもそう期待する。しかし、恵子は両方に興味がない。アドバイザーは、「医学部でも、病院勤務とは関係ない分野の仕事もあるから、検討したほうがいい」と言っていたそうだ。 そのほかの主なアドバイスは、 1.若いから、すぐに進学しないで、1年試験的にいろいろな学部で学べるコースに通うことをお勧めする。エリート用なので、あなたに向いている。このコースは早い者勝ちで、もうすでに申し込みは始まっている。 2.博士課程まで視野に入れたほうがいいので、Hpchschuleではなく、Universitaetに進学しなさい。 3.ランキング表を見て、トップランクの大学を受験しなさい。 4.生物工学は、あなたの興味あることを勉強できる分野ではない。 5.学際的自然科学部のように、いろいろなことを勉強するのではなく、生化学科のように、ターゲットを絞って勉強したほうがいい。 1.に関しては、恵子は興味ないとばっさり。 3.は、ドイツでも、学科ごとにどの大学が優れているかランキングがあり、そのサイトを教えてくれたそうだ。ちなみに、世界の大学ランキングには、ドイツの大学はあまりはいっていない。このランキングはそもそも英語圏の大学が有利なようになっていて、研究成果がどれだけ検索されているかということを指標にしているらしい。ドイツでの研究は、マックスプランク研究所で行われることが多いので、ドイツの大学はなかなかランキングされないという裏事情があるそうだ。 いろいろとヒントはもらえたそうだが、進路がすっきりと解決したわけでもない。 6月末には中国に行ってしまうので、2ヶ月弱の間にすべてを決めないといけない。 恵子の今後の人生の方向性の決断になる。どうなるんだろう? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2014年05月08日 15時51分21秒
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