ドイツでマルチリンガルを育てる

今朝も４時半起き。
夫が車の中で食べる朝食と会社で食べる昼食、子ども達のお弁当作りに毎朝３０分かかる。
夫は５時過ぎに家を出るので、そんな早い時間に私も起きることになる。
しかし、今日は、５時過ぎても夫が階下に降りてこない。起こしにいったら、「今日はほかにすることがあるから、仕事には行かない。」と言われ、猛烈に腹が立った。
「それなら、昨日のうちに言っておいてよ！」と怒鳴ってしまった。

昨日は、ニコちゃんのサッカーの練習日。うちから歩いて３０分ほどかかるスタジアムで練習している。今までは自転車で行くことが多かったのだが、終わるのが７時で、その時間、あたりは薄暗くなってきている。自転車では危ないので、歩いていくように伝えた。行きは一人で行かせ、帰りは迎えにいった。練習が終わり、子ども達は帰り始めたのに、ニコちゃんだけはいつまでもフィールドに残っている。探し物をしているようだった。「ニコ、おしまいだよ。」と誰かに声を掛けられ、初めて、練習が終わったことに気づいた感じだった。一人だけゼッケンもはずしていない。ニコちゃんが私に気づいて駆け寄ってきた。そのとき、ニコちゃんは手に札入れを持っていた。夫の古い札入れで、おもちゃのお札を入れて遊ぶときにつかっているのだが、昨日、ニコちゃんは学校帰り、２０セントコインを２枚みつけて、喜んでいた。そのコインを札入れに入れ、どうやらサッカーの練習に持っていたようだ。練習中も札入れを握り締めていて、いつの間にかコインがこぼれ落ちたようだ。
ニコちゃんは一つのことが気になると、そればかり考え、今、何をするべき時間か、ということを忘れてしまう。サッカーに札入れが必要でないことは誰でもわかるが、ニコちゃんは自分で持っていないと気がすまない。

家に帰るときも、さっさと歩いてくれない。ずっと下を向いて、何かを探すような感じで歩いているので、時間がかかる。どんぐりとか、ビール瓶のふたとか、いろいろなものが彼にとっては宝物のようで、すぐに拾おうとする。きたなくても、気にしない。あまりにも歩く速度が遅いので、イライラしてきてしまった。
サッカーの練習を私はほとんどみていないが、たまに見ると、ニコちゃんの態度はほかの子と違う、ということに気づく。ひとつには、ニコちゃんはあまりサッカーが好きではなく、サッカーのルールを知らない、ということがある。団体競技のマナーを学ぶのはニコちゃんにとっては非常に重要なことだと思ったし、今年からは仲の良いクラスメートもいるので、本人も楽しく出来るかと思ったのだが、やっぱり下手だし、楽しくないのかもしれない。
やる気がないから、ただでさえ少ない集中力がまったくない状態になっているのかもしれない。

宿題を良く忘れるし、何をするにも時間がかかるし、変なこだわりが強いし、人の説明を最後まで絶対に聞かない。これが改善できるなら、薬を飲ませる方法もありなのではないか？と最近思うようになってきた。

昨日、夜、家に帰ってからその話をしたら、夫とけんかになった。
ニコに薬を飲ませたら、私との関係が取り返しのつかない結果になるだろう、というようなことを言われた。最近の私は、いつも子供を怒鳴っているし、不機嫌で、疲れている。それが学校に通うことに起因しているのなら、辞めてしまえ、と言われた。
子供の面倒をみるよりも、学校に行くほうが楽しい、といったら、大喧嘩になった。
だから、夫も、今日は仕事に行かないということを私に言いそびれてしまったのだろう。

夜、一人で部屋にこもって、恵子とSkypeをした。あいかわらず、下宿探しでは、断られるメールばかりで、がっかりする、と言っていた。チューリッヒの住宅事情は本当に悪く、１００件断られた人もいるらしい。恵子も、「もう１００件ぐらいは断られたかもしれない」と言っていた。メールだけで断られ、部屋の下見にさえ呼んでもらえないことも多い。やっぱり、どんなことでも、断られると傷つくし、その状態が続くと自分自身に自信をなくす。
年齢と見た目（アジア人）で敬遠されてしまうのは、世間ではよくある話だと思うが、１７歳でこういう現実にぶち当たるのは、かわいそうだと思う。
あまりにも不憫で涙が出てくる。