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カテゴリ:子供
昨日、恵子と久々に長話をした。
スイスフランの高騰の影響を聞いてみた。 恵子の大学のクラスメートの大半は、スイス人。彼らは、「週末はコンスタンツ(ドイツ側の国境の町)に買い物に行かなくっちゃ!冬物バーゲンでただでさえ安いのに、もっと安く買えてうれしい!」というような反応。逆に、ユーロ圏から来ている学生には大打撃。恵子の家賃は、月額560CHFで、500ユーロでおつりがきていたのに、1月15日を境に、一気に月額100ユーロ値上げされたも同じ。恵子のクラスメートの中には、学生用のWGの空きがなく、一般用のWGに住んでいる人がいて、月に950CHFも家賃を払っている人がいるそうだ。その人の場合、今まで一ヶ月の家賃が800ユーロ以内で済んでいたのに、一気に150ユーロの値上がり。相当な財政負担になるわけで、ショックを受けていたそうだ。 スイスの物価はもともと高い。スイスフランが高騰する前から、スイス人の多くは国境を越えて買い物をしていた。恵子の友達でコンスタンツ大学に通っている人が何人かいるのだが、みんな口をそろえて、「ドイツに買い物に来るスイス人って、すごい迷惑。牛乳1パック買うだけでも、彼らのせいで、いつも20分もレジに並ばないといけない。彼らはショッピングカートに山積みになるほど商品を買っているのだけど、牛乳パック1つを持っている私をみても、前にいっていいわよ、って声をかけてくれないんだよ。牛乳1つのために、毎回20分もレジに並ぶのは、うんざり。」というような文句をたれていたそうだ。恵子がその話を聞いたのはクリスマス前。スイスフランがこんなに高騰したら、状況はもっと悪化しているだろう。恵子は、「私の友達は、たぶん、もっとスイス人のことが嫌いになると思う。」と言っていた。 半年前にこの状況になっていたら、私たちは恵子をスイスの大学に進学させることを躊躇していたかもしれない。今年は、ユーロ圏からの学生が減るかもしれない。恵子たちの大学は、学士課程(3年間)はスイス人の学生が多いが、修士、博士課程は外国人留学生が多い。学士課程の講義は基本ドイツ語になるが、修士、博士課程は基本英語での講義になる。基本と書いたのは、学士課程であっても、資料等は英語で書かれているものが多く、英語力は必須。 現在恵子は化学の実験を毎日のようにしているのだが、二人一組の実験で、二人の院生が実験の説明をしてくれる。恵子たちを担当している院生はフランス語圏から来ている人で、院生同士で話す時はフランス語、恵子たちに指示をする時は英語、恵子と実験のパートナーはドイツ語で会話している。なんだか、すごい状況だなーと思った。 恵子は実験が大好きで、それも自然科学系の学科を選んだ理由のひとつだったのだが、現在やっている実験はつまらない、とぼやいていた。朝8時から夕方6時まで立ちっぱなし。ポタ、ポタっと落ちる水滴をずっとみつめていたり、1mmgでも間違えたら、実験結果が異なり、全てやり直しとか、とにかくストレスがたまるといっていた。また、ビーカーとか試験官、フラスコなどが棚の上にあり、取る時に、背の低い恵子は背伸びをしなくてはならない。うまくとれなくて、今まで5本割ったそうだ。壊したものは最後に弁償しなくてはいけないらしい。一緒に組んでいる男子学生にとってくれるように頼めば?と言ったら、「しょちゅう使うから、毎度毎度頼めない。自分でやるしかない。」と言っていた。恵子はたぶん、日本人の平均的女性より少し低いと思うのだが、そんな子が欧米で実験するのは、いろいろと不便があるようだ。 恵子たちの実験は、基本的なことばかりで、すでに結果はわかっている。しかし、何度実験しても期待された結果を出すのは難しいらしい。ほんの少しのことで、狂ってしまうらしい。 去年日本で話題になったことで、今まで200回以上成功した実験のはずなのに、なんで結果がだせないのだろう、とニュースを聞くたびに不思議に思っていたのだが、恵子の話を聞くうちに、そういうことってあってもおかしくない世界なのだな、と思った。 恵子たちの大学は、研究の充実度で世界でもトップクラスに上げられるが、学部1年生は、トップクラスの実験室を使わせてもらうことはできなくて、「うーん。。。」というような実験室で実験しているそうだ。 昨日は何をしていたのか聞いたところ、ドイツに住む友達と2時間もスカイプで話をしていたとのこと。その友人とは、中国語大会で知り合い、ずっと文通している。彼女には双子の妹がいる。そろって秀才で、Abiturの成績も1.0と1,1。成績のいい子は、「とりあえず、医学部」に入学することが多く、最初は彼女たちもそう考えていたが、つまらなそうなので、それぞれ、数学科と化学科に進学したそうだ。でも、学部が合わなくて結局は12月に中退した。別の学部の次のセメスターに応募するのには時すでに遅しで、夏休み後のセメスターまで待つことになる。その間何もすることがなく、すごく落ち込んでいるので、恵子はずっと励ましていたそうだ。 彼女の妹のクラスには、なんと14歳の男の子がいたそうだ。14歳で大学1年生。すごいことだけど、かなり強靭なメンタルの持ち主でないと、20歳以上の学生が多い中で一緒に勉強するのは大変なことだと思う。17歳の恵子でさえ、年齢をいうと、相手に低くみられるから、絶対に自分から年齢はカミングアウトしない、と言っていた。たとえば、一緒に実験をしている男子学生が、もし、恵子が17歳と知ったら、「なんだ、子供と組まされたのか。」とがっかりすると思うから、絶対に相手の年齢も聞かないし、自分の年齢も言わない、と言っていた。年齢で偏見をもたれることを避けたいらしい。被害妄想のような気もするけど、若くして入学するのもいろいろと大変なのねーと思った。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2015年01月18日 20時39分48秒
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