ドイツでマルチリンガルを育てる

賢浩の部屋を引き続き掃除した。
「６」とか「５」の答案用紙がくしゃくしゃに丸められた姿で何枚も出てきた。
あいかわらず、こんなところにも・・・という場所から、お菓子の空き袋が出てくるし、本当に恐ろしい。しかし、一番ショックだったのは、１０月に行う職業研修のお知らせを読んだ時だった。職業訓練までのスケジュールが書いてあったのだが、「研修先との合意書を７月３日までに提出してください」という一文を読んだとき、頭がクラクラした。前々から「大丈夫なのか？」「もう志望書を提出したのか？」と声をかけていたが、暖簾に腕押し状態。７月３日までに研修先を決めて、合意書を提出しないといけないということを知っていれば、もっと尻を叩いてやらせていたのに・・・。
今更応募しても、どこも「締めきりました」というはずだ。
獣医さんからは「たぶんできる」と言われたが、それでも１００％確定ではない。
賢浩は「もう少し、色々と応募してみるから、僕の成績表をスキャンしておくって」と頼んできた。賢浩の成績表をまじまじと見ながら、賢浩がなぜ７月の下旬まで応募しなかったのかわかったような気がした。２月にもらった前期の成績がものすごく悪くて、たぶん、後期の成績が出るまで待っていたのだろう。しかし、後期も成績も悪く、待った意味は殆どなかったのだが・・・・・

実は、私も研修先がまだ見つかっていない。３つ面接を受けたが、そのうち２つからはポジティブな返事をもらっていた。しかし、どちらからも最終的に断られた。一つの税理士事務所からは「事務所の事情が変わった。申し訳ない。」と言われた。もうひとつからは「職員全員に聞いてみたが、全員から、研修生に教える時間的余裕が無い、と言われた。」と断られた。私も探さなくてはいけないのだが、とりあえず、夏休みが開けてから、とまだ行動に移していない。だから、賢浩が研修探しに消極的になる気持ちもよく理解できる。
でも、ギムナジウム生の研修は１週間だし、その後そこに就職を希望しているわけでもない。社会科見学に毛の生えたようなもの。だから断られることを恐れずに、もっと積極的に動いていればよかったのに・・・ととても残念に思う。

恵子からは、「試験はものすごく難しかった。もしかして、一つ落としたかも・・」と泣き顔のイラスト付きのメールが来た。恵子とは、テレグラムというLINEに似たツールでやりとりしているのだが、いろいろなかわいいイラストのスタンプを教えてくれて、自分の気分にあわせて、かわいいスタンプを押してメールをやりとりしている。私にできるのは、励ますこと応援することだけ。

昨日は、賢浩の代わりに新聞配達をした。賢浩は週に１回新聞配達のバイトをしており、１ヶ月に１回報酬が賢浩の口座に振り込まれる。昨日はすごく暑い日だったので、２時間ほどで配り終える量だが、汗だくになった。賢浩が香港で楽しんでいる間、私は６回も新聞配達をしないといけない。私が働いたバイト料がすべて賢浩のお菓子代に消えるかと思うと、バカバカしくなる。