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昨日、知らない女性から電話がかかってきた。
しかし、彼女は私のことを知っており、「恵子は元気ですか?」と言ったので、びっくりした。 「私の息子のAも恵子と一緒のグループで、Deutsch Junior Akademieに参加していたんですけど、覚えていませんか?」と彼女は言った。残念ながら全く記憶に残っていなかった。恵子がDeutsch Junior Akademieに参加したのは2010年。もう5年も前の話で、今まで何のコンタクトもなかったのに、急に近況確認の電話をかけてきた意図が理解できなかった。 彼女はやたらに質問してきた。恵子は今何をしているのか?どこの大学か?学費はいくらか?ご主人は何をしているのか?ご主人とはどこで出会ったのか?・・・・どこまで個人情報を出していいのかわからなかったが、知られて困る話でもないので、正直に答えた。とても感じのいい人で、私の拙いドイツ語でも一生懸命に話しを聞いてくれ、こちらの質問にも丁寧に答えてくれた。 彼女は、あの時一緒だった子どもたちが今どうなっているのか知りたくて電話をした、と言った。私はファイルから当時の名簿を見つけ出した。確かにAくんの名前があった。Aくんのお母さんもたぶんその名簿を見てうちに電話をかけてきたのだと思う。Aくんの苗字から「もしかして、中国の方ですか?」と聞いたら、そうだと答えた。同じアジア人だったから、私達が彼女の印象に残っていたのかもしれない。 いろいろ話をしているうちに、Aくんも恵子と同じギムナジウムに通っていたことがわかった。なんという偶然! Aくんは恵子より1学年上だったので、あまり交流がなかったのかもしれない。 Aくんは、12年生の時に、ケンブリッジ大学を受験したが、願書提出時点ではまだ15歳で、面接で「若すぎるので、1年後に入学を許可します。」と言われたそうだ。ギムナジウム卒業後、何もしないで1年間過ごすのはもったいないので、とりあえずドイツの大学に入学し、1年後にケンブリッジに移ったとのこと。アメリカの大学(MIT)も視野に入れていたらしく、SATも受けていたそうだ。 Aくんのお母さんに「なぜ、恵子はドイツの大学ではなく、スイスの大学を選んだのか?イギリスやアメリカ留学は考えなかったのか?」と質問された。「恵子は、自分が何をしたいのか決めかねており、スイスの大学には、自然科学全般を勉強できる学科があったので、そこに決めた。イギリスやアメリカは願書提出が早く、間に合わなかった。学費も高いので、そもそも積極的に考えていなかった。」と答えた。すると、Aくんのお母さんは、「うちも同じです。ドイツの大学は1年めから専攻を決めないといけない。あとで変更するのは難しい。その点、イギリスの大学は入学時点で細かい専門を決める必要がないので、選びました。アメリカの大学は、やはり学費が高いので、諦めました。」といった。 「ケンブリッジで勉強することが将来的に有利なのかどうかはわかりません。」と彼女が言ったので、びっくりした。「ケンブリッジなんて有名だから、世界中で通用するでしょ?」と言うと、「ドイツではそうでもないですよ。ケンブリッジ大学で勉強している、というと、なんでドイツの大学に通わせないの?学費も高いでしょ?っていつも言われますよ。アメリカの友だちに聞いても、アメリカには優秀な大学がいっぱいあるから、ケンブリッジだからといってもあまりすごいとはならない、って言われました。」と教えてくれた。うちも恵子がスイスで勉強しているというと、「なんでわざわざ?お金がかかるでしょ?」と必ず言われる。ケンブリッジでもそういう反応なら、ドイツの大学でなければどの大学に行っても、ネガティブな反応が返ってくるのは当然かもしれない。 ドイツ奨学金の話にもなった。Aくんも学校推薦をもらっていたが、落ちたのだそうだ。Aくんのお母さんは、「ドイツ奨学金は、いろいろな話を聞く限りでは、ドイツ国内の大会で賞をとっても考慮の対象にはならず、国際大会で賞をとった子が優先されるようですよ。あとは、私達アジア人は、討論などで積極的に発言できない性質をもっているから、不利ですよね。」と言った。 私は彼女の顔もAくんの顔も全く覚えていないのに、実に2時間も話し込んでしまった。 彼女自身はドイツの大学で機械工学を教えているのだそうだ。話をしていて、とても楽しかった。 彼女は「いつでも電話してきて。」と言って、電話番号を教えてくれたが、私が彼女に電話することはないと思う。私は自分から電話をかけるのがすごく苦手。相手が今忙しかったらどうしよう、とか、私のことを覚えているかどうかもわからないし・・・とかいろいろ考えてしまうからだ。でも、自分が電話を貰うと嬉しい。彼女のように、「ちょっと近況が知りたくて・・・」なんて電話をかけられる度胸がほしいなー お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2015年08月13日 01時40分18秒
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