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最近のトップニュースはいつも難民問題。
先日まではギリシャのコス島とマケドニアの映像ばかりが流れていたが、最近はブダペスト駅の映像ばかり。 一国の首都の駅にこんなにもたくさんの難民が野宿している映像はかなり衝撃的。 ハンガリーの首相は「ハンガリーに来ないでください」と訴えていた。 ハンガリーにいる難民の殆どはドイツを目指している。 「私達はハンガリーにとどまりたくない。早く出国させてくれ。」とデモを起こしている。 ハンガリーにしてみれば、「ハンガリーにいたくないのに、なんでここに来るの?」と思いたくもなるだろう。ハンガリーに来る難民はトルコからバルカン半島を北上してくる。トルコは安全な国なのに、わざわざ危険を犯してヨーロッパに来る必要がどこにあるのか?というのが言い分。難民に人道的支援をしていないとドイツがハンガリーを責めるのであれば、ドイツが責任を持って引き受ければいい、とハンガリー側が主張するのも、ある意味理解できる。 ブダペストの駅からようやく列車が出て、難民はようやくドイツに行けると喜んだのだが、その列車は実はハンガリー国内の難民収容施設行きだった。その情報は、スマホであっという間にブダペスト駅で次の列車を待つ難民に伝わり、大混乱が起きた。 たくさんの難民が、スマホで情報を得ていることに驚く。 いったいどこで充電しているのだろうか? どうやってインターネットに接続できているのだろうか? 10人とか100人のレベルではない。何千人何万人という数の難民がスマホを保持して使っているのが不思議だ。ブダペスト駅周辺にはトイレが4つ、無料の水道がひとつ、とニュースでは言っていたような気がする。数は正確ではないかもしれないけど、とりあえず、人数に対して圧倒的に少ない。彼らはいったいどこでどうやって用を足しているのだろうか?森や野原ではなく、彼らは町の中にいる。いろいろなことが理解の範疇を超える。 また、彼らの多くは「乗車券を買ったのに、電車に乗れないというのはおかしい。」と訴えている。ハンガリーからドイツに行くのに、難民は切符を自分たちで買っているのだろか?もし、そういうお金があるのなら、なぜ、ギリシャやトルコから直接ドイツに飛行機で飛ばないのだろうか?シリアからの難民だといえば、入国をとりあえず許されるのではないのだろうか?それとも飛行機ではVISAがないと入国できないのだろうか? ブダペストの駅には、スウェーデンとかから「ニュースを見て、彼らを支援したいと思ってここに来ました」という若者もたくさん来ている。でも、とにかく人数が多すぎる。「ここでは、人間として扱われていない。」と抗議する難民が後を絶たない。他所の国でこんなに抗議をするパワーがある人たちなのに、自国ではなすすべがないのは、本当に悲しいことだ。独裁政権というのは、本当に恐ろしいのだなーと改めて思う。 ドイツでは今年の難民受入数が80万人になるだろうと予測されている。私たちの町には去年既に難民用アパートができ、20ー30人の難民がここに引っ越してきた。私のクラスメートはとなり町に住んでいるが、彼女の住んでいるアパートの隣にも去年シリアからの家族が入居したと言っていた。今日電車の中で隣りに座った女性と少し話したら、彼女は去年ソマリアから来たと言った。すでに、ドイツはかなりの数の難民を受け入れている。周辺のどんな小さな町にも難民用の住宅ができている。(それらは新築ではなく、古い家屋を自治体が借受け、改装して難民に提供している。) 一般経済の授業で、「Schuldenbremse(債務ブレーキ)」という概念を習った。 これは、予算の支出が収入を超えないようにする、ということで、国家予算では2016年以降、州レベルでは2020年以降は、借り入れなしに収支を均衡させることが法制化されている。 クラスメートの一人が、「しかし、こんなにも難民を受け入れるとなると、その予算は莫大で、支出が当初予算より増えてしまうのではないか?そうすると、ほかの予算を切り詰めるか、借り入れするしかないのだが、Schuldenbremseを保持することは可能なのか?」と質問した。先生は「ドイツ基本法(Grund Gesetz)第一条には「人間の尊厳は不可侵である。これを尊重し保護することは、すべての国家権力の義務である。」(Die Würde des Menschen ist unantastbar. Sie zu achten und zu schützen ist Verpflichtung aller staatlichen Gewalt.)と書いてあります。この条項はどの条項よりも優先するのです。つまり、人間の尊厳を守り保護することは、赤字予算にしないことより大切なことなのです。」と言った。 人間の尊厳は不可侵であるという当たり前の概念が当たり前ではない社会が存在するから、難民問題という悲劇がなくならないのだろう。すべての国、すべての人が、この条文を当たり前の様に尊重する世界になればいいなーとニュースを見ながら切に願う。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2015年09月06日 03時13分57秒
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