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ドイツでマルチリンガルを育てる

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2016年01月09日
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カテゴリ:子供
長い一週間が終わった。
勤務時間は8時から17時なのだが、17時ぴったりには帰りづらい。
昨日はアメリカから帰ってくる賢浩を駅まで迎えに行くので、16時半に上がらせて欲しいと前日に社長に了解をもらっておいた。ところが昨日は「今日中に終わらせて」と言われた仕事が山積み。おまけに社長は息子一人を伴って15時30分頃に外出してしまった。社長は「今日は早退するのよね。じゃあ、いい週末を。やり残した仕事はBにさせればいいから・・」と言い残して出かけていった。携帯を覗く時間もないし、賢浩がどの電車に乗ったかを確認することすらできていない状態だった。

やはり16時半までに私に任された仕事をすべて終わらせることはできなかった。
私には自分用の机とPCがない。昨日任されたメインの仕事は、2014年の確定申告がまだ終わっていない顧客50人分の期限延長申請を所轄の税務署にFAXすることだった。昨日中に終わらせる必要があり、BさんのPCを使わせてもらって作業した。その間Bさんは自分の仕事ができず、別のことをしていた。社長と息子が外出したので、ようやくBさんは空いたPCで自分の仕事ができるようになった。そんな経緯もあり、私がやり残した「庶務」をBさんにお願いするのは非常に心苦しかった。しかし賢浩には時間通りに迎えに行くと約束していたので、16時40分まで仕事をして席を立った。Bさんは快く引き受けてくれた。Bさんも17時までの勤務時間のはずだが、毎日残業している。Bさんは私と違い正社員だけど、残業手当がもらえているといいな、と思った。

駅についたら、賢浩はすでに外で私を待っていた。
「遅れてごめん」と謝ったら、「めんどくせー」と言われた。スーツケースをトランクに詰めながらも「めんどくせー」。私のかばんが助手席においてあるのを見て「めんどくせー」といって、私がかばんをどけるのを待っている。「普通は「ただいまー」とか「迎えに来てくれてありがとう」とか、そんなセリフを言うもんじゃないの?」と注意しても「めんどくせー」「しらねー」「うるせー」を繰り返すだけ。

家についたら早速スマホでゲームを始めている。
まったく近頃の若者は・・・・・

賢浩のスーツケースの中はほとんどが、デラウェア州の大きなアウトレットショップに行った時に買った洋服だった。デラウェア州は消費税がゼロなので、買い物天国らしい。

来週、再来週と試験が目白押しなので、一応賢浩は勉強道具もアメリカに持って行っていた。教科書やノートと一緒に「ドイツ人学校」のパンフレットが出てきた。
「何これ?」と聞いたら、「B(義姉)の家の近くにある学校で、そこに留学したらって言われた。」と言った。アメリカの現地校に留学するのではなく、アメリカにある「ドイツ人学校」にドイツから留学する意味がわからない。賢浩は常日頃「まずはドイツの大学に行って、そのあとアメリカに留学して、そのままアメリカで働きたい」と言っている。しかし、高校からアメリカに行くことは想定していなかったので、びっくり。これは、賢浩の要望ではなく、義姉夫婦が「勝手に」計画したこと。

義姉からメールが来ており「賢浩がアメリカにいる間、彼の将来についていろいろ話し合った。うちから通学できる範囲にドイツ語圏からの駐在員子弟用の学校がある。水曜日に賢浩と学校見学に行って、校長とも話した。この学校はドイツ政府からも認可されており、ドイツとアメリカの両方の高校卒業資格がとれる。卒業後はアメリカの大学にもドイツの大学にも進学できる。一クラス15人制だし、先生の質も高い。学費と生活費はすべて私達が負担する。そっちは、賢浩が休みにドイツに帰る旅費と彼のお小遣いを負担してくれればそれでいい。11年生から編入する手続きを2月中旬までにしたいので、返事がほしい。」という内容だった。あまりにも具体的に話が進みすぎていてびっくり。このままでは将来賢浩を養子に欲しいと言い出すのではないかと不安になってきた。

夫はそのメールに「それはいい考えかもしれないね。本人がそうしたいなら反対する理由はない。でも私達が積極的に賛成することで、パパやママは僕が家にいないほうがいいのかな?とひねくれた考えをしないか心配している。」と返答していた。夫は昔から義姉に頭が上がらなくて、義姉の考えに正面切って反対することは絶対にない。

賢浩に「アメリカの学校に行きたいの?」と聞いたら、「めんどくせー」と言われた。「ママは反対なんだけど、そう返事してもいい?」と聞いたら、「うん、そうして!」とうれしそうに言った。
「アメリカの学校のほうが良さそうだった?」と聞いても、「わかんねー。めんどくさそうだった。」と意味の分からない返事。「高校卒業まではここにいるほうがいいと思うけど?」とい言うと、「だよなー。」と一言。
「それほど行く気がないなら、なぜBにそう言わなかったの?」と聞くと、「だってBが怖いから、いやだって言えないよ」と言い訳。Bは私のようにカッとなって子供を怒鳴り散らすことはしない。論理的に物事を白黒にはっきり分ける。優しい人だけど、相手に有無を言わせない威圧感がある。「ママのほうがすぐ怒るけど、いつも怒っているから慣れちゃってなんとも思わない。ママになら何を言っても失礼にならないけど、Bには失礼な事は言えない。ママはママだけど、Bは家族じゃないから」と言った。たぶん、これが賢浩の本音だと思う。

私は「賢浩は高校卒業までは今の学校のままでいいと思うし、私自身彼には高校卒業までは家にいて欲しい。」と義姉夫婦に返信した。

義姉夫から長いメールが返ってきた。
「私達が賢浩がこちらに来たほうがいいと思う理由は以下のとおり:
1.こちらの学校は少人数クラスで、生徒一人ひとりに目が行き渡っている。賢浩が今通っているドイツの学校は、30年も40年も同じ教材で教鞭をとってる先生も少なくなく、授業の進め方も機械的。よくできる生徒ばかりが可愛がられ、公平さを感じない、と本人が愚痴っていた。少なくともそういう問題はこちらの学校ではないと思う。
2.ドイツ政府公認のカリキュラムを採用しているので、11年制から編入しても支障がない。
3.こちらの学校はレベルも高く、Abiturの学校平均は1.8。
4.ドイツの大学に進学する場合でも、最近ではAbiturの成績ばかりで評価されているわけではないようだ。アメリカの学校に通っていたことはクレジットポイントになるはず。
5.親元を離れて暮らすことは子供の自立を促す。
6.視野が広くなる。
賢浩の将来にとってどういう選択が良いのか、もう一度よく考えて欲しい。」

本人がどうしても行きたいというなら反対はしないけど、そこまでの熱量を感じない。ここのほうが友達も多いし、サッカークラブも楽しそうだし、楽しいと思うけどなー。
義姉夫婦はうちの子どもたちの将来を本当に真面目に考えてくれていてありがたいが、賢浩への肩入れ具合がちょっと常軌を逸しているようにも思える。





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最終更新日  2016年01月09日 16時24分47秒
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