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テーマ:海外生活(7774)
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火曜日に近所に住む老夫婦の義理の娘と名乗る人が来た。
夫が対応したのだが、「義母がなくなったことを報告してほしいと義父に頼まれました」と言われたようだ。 2ヶ月ぐらい前にご夫婦二人共別々に救急車で運ばれたことは知っていたが、その後どうなったのか気になっていた。奥さんの方は以前から病気で長い闘病生活の末になくなったとのことだった。夫は自分の名刺を渡して、「何か私たちにできることがあればいつでも声をかけてください」と伝えた。 私達が住んでいるところは、お年寄りが多く、毎年誰か亡くなっている。しかし、その事実を後々になって知ることばかりだった。今回初めて直接親族の方からご報告を頂いた。こういう場合どうすればいいのかさっぱりわからない。とりあえずお花でも買ってお悔やみを伝えに行ったほうがいいのではないか、と夫と話し合った。翌日買い物に行く途中で近所のお婆さんに会った。彼女に私のお隣さんが亡くなったことを伝えたら、すごく驚いていた。「お葬式はいつ?」と聞かれたが、私も知らなかった。お婆さんは「新聞に普通広告が載るから、それを見なさい。」とアドバイスしてくれた。私は「普通こういう場合、どうするんですか?」と聞いたら、「お悔やみ用のカードを買って中にお金をいれて郵便受けにいれておけばいいと思う。」と教えてくれた。「お花はどうですか?」と聞いたら、「お花もいいけど、葬式はお金がかさむから、現金のほうがいいと思う。10ユーロぐらいでいいんじゃない?」と言われた。 本屋に行く用事があった。けっこうたくさん買ったし、お客さんも私だけだったので、ここでもお店の人(20代後半ぐらいの若い女性)に聞いてみた。お店の人は「カードにお悔やみの言葉を書いて渡すのが普通ですよ。」と教えてくれた。「現金を同封するんですか?その場合はいくらぐらいが妥当ですか?」と聞いたら、「関係の深さにもよりますけど、5ユーロから20ユーロってところでしょか?それ以上は必要ないですよ。」と親切にアドバイスしてくれた。 図書館に行って2-3日分の新聞の死亡広告を探した。しかし、お隣さんの名前は載っていなかった。図書館にも私しかいなかったので、カウンターの人(60歳前後の女性)にドイツのお葬式の常識について聞いてみた。彼女は「みんながみんな葬式の日時を広告に載せるわけではないのよ。広告を出すにはそれなりにお金がかかるからね。一番いいのは直接お葬式の日時を聞くことね。お葬式は死んでから3日以内ぐらいにするけど、もう既に遺体を焼いていたら、もう少し先ってこともあるし、人それぞれね。」と言った。「きれいなお悔やみ用のカードにお金を同封して渡すのが一番いいわよ。お花を渡すのはオススメしないわ。お葬式のやり方もいろいろで、火葬なのかどうかとか、お花を遠慮するっていう人もいるし、ややこしいから、一番いいのは現金よ。お葬式を出すのはお金がかかるからね。現金は多くても20ユーロで十分よ。」といろいろ丁寧に教えてくれた。ドイツには火葬以外の選択肢があるのだろうか??? 夫とは白い花の鉢植えを持っておくやみに行こうと話していたが、やはりカードに現金がいいのかな?と思い直し、カードを選び、ネットでお悔やみの言葉を調べ、書き込んで、現金を同封して、にこちゃんもつれて3人で弔問した。 ご主人は窓から顔を出して「うちにあがりますか?」と言って、私たちに玄関の鍵を渡してくれた。1軒家だが、中に入るとすぐに階段で、ご主人は階段の昇り降りが不自由だからだ。 家の中はカントリー調で素敵だった。ろうそくがともされ、白い小さい花でできた花束があった。カードと現金のはいった封筒を渡したが、味気ない感じがしたので、やっぱり花束にすればよかったかなーと思った。 奥さんは長いこと病気で、ご主人が付き添っていたのだが、ご主人が2ヶ月前に家の中で転倒して骨を折ってしまい、救急車で運ばれた。奥さんの方は一人では生活できないので、そのまま施設に入ったようだ。息子さんが隣町に住んでいて、しょちゅう来て、家のことを手伝っていたが、つきっきりで介護というわけにもいかなかったようで、そのようなことになったらしい。 ご夫婦はともに86歳で60年間連れ添ったそうだ。いろいろな話をしてくれたけども、主に私の夫と話していたので、私は単語が飛び飛びに聞こえる程度で、たぶんこういうことを言っているのだろうな、と想像しながら話を聞いていた。ご夫婦には8人子供がいると言った。そのうちの一人はサハラ砂漠にいたらしく、餓死したと話していたと思う。ドイツ人が餓死することがあるのだろうか?「Verhungern」という言葉ははっきり聞こえた。唯一その話をした時だけ、ご主人は涙をこぼした。8人もお子さんがいてお孫さんは一人もいないと言った。すごく仲のいいご夫婦で、上品な人たちだった。私が車のバッテリーがあがって困っているときも、ご主人がガレージに様子を見に来てくれた。 ご主人は「葬儀は来週の月曜日の午後1時半からです。」と言った。「えっ、月曜日は仕事の日だ。どうしよう。夫も来週からは仕事でミュンヘンだから参加できない。わー、まずいな・・」と気になって、その後の話がまったく頭に入ってこなかった。 今日事務所に行って「近所の方の葬式があるのですが、来週の月曜日半休をもらえますか?」と聞いたら、「それなら、月曜日は休んで火曜日か水曜日に来て。」と言われた。とりあえずお葬式には参列できるのでホッとした。それほど親しくしていたわけではないが、やっぱり寂しい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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