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ドイツでマルチリンガルを育てる

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2016年10月12日
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カテゴリ:子供
週末恵子が帰ってきていた。金曜日の夕方に来て、土曜日の夜と日曜日の午前中は地元の友だちと会う約束が有り、日曜日の夕方にはスイスに戻っていった。家にいる時はにこちゃんがべったり。夜も一緒に寝たいとひっついて離れない。姉と弟というよりもママと子供のような関係。恵子は「大学ではだいたい私が一番年下で、小学生の兄弟がいる人なんて一人もいない。みんながうらやましー」と言っていた。
日曜日の午後に賢浩から電話があった。恵子は「ニコがくっついてきてうるさい。早くスイスに帰りたくなる。」と愚痴っていた。それでもいつも本を読んであげたり、ピアノの練習を一緒にしようと誘ってくれたり、嫌だといいつつもすごく面倒を見てあげている。恵子は本当のママと違って怒らないからにこちゃんの悪ふざけもエスカレートしていき、傍から見ていても、微笑ましいというよりはかわいそうだなーと思ってしまう。

日曜日に賢浩と話した時「ホームカミングはまあまあだった。アメリカでは飲酒は21歳からなので、パーティーといってもアルコールはなくて、甘いものばかりでがっかりした。」と言っていた。
日曜日なのに、これから学校に行かないといけないと言った。アビバル(ドイツのギムナジウムの卒業謝恩会)の会場を借りるのに1万ドルかかるので、費用の足しにするためのバザーみたいなことの手伝いをするらしい。こちらにいたときに比べて何かとお金がかかるようだ。本人も今の学校に通うために学費を含めどれだけたくさんのお金がかかっているか実感し始めたようだ。また、結構英語のレベルが高いらしく、こちらの学校にいる時は、勉強しなくても「2」は確実にとれた(勉強していれば「1」をとれていたと思う)。何もしなくても英語はできる、とタカをくくっていたのに、今の学校ではこのままでは落ちこぼれるかもしれないと不安に思っているようだ。

賢浩はその不安を義姉にも当然話していたので、義姉は賢浩の英語の先生にメールを書いた。そのCCが私も送られてきた。「ドイツにいる時は英語はむしろ得意科目であったのに、こちらに来て、授業についていくのが難しいと感じるようになったようだ。もうすぐ秋休みなので、賢浩に特別に家庭学習用のホームワークを出して欲しい。またどのように勉強すればいいのかアドバイスして欲しい。」と書いてあった。義姉は何か問題があると担当の先生に直接メールを書いている。

今日はまた別のメールが義姉からCCで送られてきた。今度は賢浩のクラスメートのお父さんに書いたメールだった。
賢浩は動物が好きで、獣医になりたいと最近は思っているようだ。しかし獣医学を勉強できる大学はドイツではそれほど多くなく、狭き門だ。医学部ほどではないが、それでも最低でもAbitur平均1.4ぐらいはないと難しいらしい。ちなみに、恵子の知り合いはAbitur平均1.1だったが医学部を全滅したそうだ。賢浩はどんなに頑張っても1点台前半をとるのは難しいと思う。だから私なら「ちょっとむずかしいかもね。一応他の道も考えてみたら?」とソフトに方向転換を促すと思う。しかし義姉はあくまでも彼の夢を実現させるため、出来る限りのサポートをしたいと考えているようだ。
賢浩が獣医に興味があるということをクラスメートのW君に話したらしい。W君のお父さんはアメリカで動物病院を開業しているそうだ。W君は賢浩に「それなら、うちのパパに頼んで手術を見学させてもらったら?」と言ってくれたそうだ。それで義姉がW君のお父さんにメールを書いて、本当に可能でしょうか?と聞いたわけだ。義姉は「私の甥の賢浩はあなたの息子さんのクラスメートです。」と書き始めていた。「もし獣医という仕事を間近で見ることができれば、本人もすごく喜ぶと思うし、勉強するモチベーションも上がると思います。忙しのいはわかっているので、断わられても理解します。」ということなのだが、ものすごく丁寧かつ長文のメールだった。
義姉夫婦はもともと二人とも外科医だった。米国に来て研究職についたが、そういう経歴にもメールでは触れていた。そういう義姉からみて賢浩は獣医に向いているのではないかと思うというような後押しする言葉も並んでいた。
いくらクラスメートの保護者とはいえ、賢浩は最近転校してきたばかりだし、顔をみたこともない人に結構厚かましいお願いをメールでするのはすごく勇気がいると思う。義姉は賢浩のために本当になんでもする人だなーと尊敬の念さえ覚えた。





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最終更新日  2016年10月12日 07時24分35秒
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