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ドイツでマルチリンガルを育てる

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2016年10月26日
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カテゴリ:子供
にこちゃんのクラスに夏休み直前に転校生K君が来た。

夏休みが明けて、席が隣になり、仲が良くなり、ある日遊ぶ約束を学校で交わしてきた。しかし電話番号もどこに住んでいるかも知らない。子供たち同士で約束してもおうちの人に聞かないと本当に遊べるのかどうかわからない。それでもにこちゃんは、約束したし住所も書いてもらったから行ってみるといって、私の制止を振り切り住所を頼りにK君の家を探しに行ってしまった。結局1時間だけ遊べたそうだ。翌日学校でK君からK君のママが書いたメモを渡されたそうだ。「今日の3時から5時までなら遊べるからうちに来てもいいよ。」と書いてあり、電話番号も書かれていた。その日は3時半から4時までピアノがあったので、その旨を電話で伝え、2時から3時半少し前まで遊べるか聞いてみた。
K君の家はにこちゃんのピアノ教室の近くで、ピアノのレッスンの前か後に遊ぶということが続いた。いつも彼の家ばかりなので、にこちゃんにうちにも呼びなさい、と伝えておいた。
9月に2泊3日で修学旅行があったのだがK君は参加しなかった。
ちょうど子供たちの修学旅行期間中にK君のママと近くのショッピングセンターであった。
K君のママは「Kはニコがいなくて寂しがっていますよ。早く修学旅行から帰ってきて、一緒に遊びたいって言ってます。」と言ってくれた。私は思い切って、「あのー、どうしてK君は修学旅行に参加しなかったんですか?」と聞いた。K君のママは「Kはてんかんなんです。薬の服用で抑えているので、昼間は割と大丈夫なのですが、夜によく発作を起こすので、本人は行きたがったのですが、やめさせました」と話してくれた。K君はサッカーがすごく上手で、スポーツマンという話を聞いていたので、スポーツマンのイメージとてんかんのイメージが結びつかなくてびっくりした。「いつもお宅ばかりなので、うちにも来てくださいね」と伝えておいた。

昨日の午後2時ごろ誰かが私の携帯に電話をしてきていた。昨日は1日仕事で、スマホはいつも音が出ないようにして、カバンにしまっているので、寝るまで全く電話があったことに気づかなかった。電話番号に見覚えがなく、そのまま無視した。朝早く目ざめ、もしかしてあの番号はK君のママかもしれない、と思い至った。急いで「電話に気づかなくてごめんなさい。今日、K君はうちにこれますよ。ニコのピアノは2時45分までなので、その後K君をおうちまで迎えに行きましょうか?」とメッセージを送った。

ピアノのあと、にこちゃんに道案内してもらいながら車でそのままK君を迎えに行った。お母さんも出てきて「Kはてんかんなので、もし発作が起こったらこの薬を飲ませてください」といって薬の入った箱を私に渡した。私はてんかんの知識がないので、それだけでビビってしまった。K君のママは「これは万一の時のためです。そんなことはめったにないので、大丈夫ですよ。」と言ってくれた。「てんかんなのでプレーステーションは15分間以上はさせないでください。」とも言われた。「うちにはプレイステーションはないですよ。」と言うと、K君が「えー、ないの?ほかのゲームは?」と聞いた。テレビゲームの類は何にもないというと、がっかりしていた。

うちにはNarfという鉄砲のおもちゃが何種類もあって、的を作ってあげてそれを撃つとか、家の中でかくれんぼや鬼ごっこなどかなり健全な遊びをしていた。K君のママが渡してくれた「救急セット」の中を見てみると、軽い発作の場合、どんな症状になるか、その場合の対処法、重い場合はこういう症状になる、その場合の対処法、などが書かれたペーパーと一緒に、薬(口の中に注射する?)がはいっていた。目の前にいるK君が紙に書かれた状態になることを想像できなかったが、なんとなく不安になった。5時までと言われていたので、遊べる時間は正味2時間もなかったのだが、大きな音がするたびに、ドキッとして、はやく5時にならないかなーとひたすら思ってしまった。たまたまK君の家がピアノ教室の近くなので、にこちゃんを迎えに行くついでにK君の家に行って、一緒にうちまで車に乗せてくるのは問題ないが、どういうわけか帰りも連れて来てくれるんですよね?と先に言われてしまい、そうすることになってしまった。

K君のママに救急箱を渡したらそのまま帰るつもりだったが、「うちにあがっていきますか?」と聞かれ、ドイツ人は社交辞令ではないだろう思い、遠慮せずに上がらせてもらった。
にこちゃんは「K君の家はすごく狭いの。」とよく言うので「そういうことは絶対に言うな」と何度も注意してたが、当のK君ママも「びっくりするほど狭いでしょ」というぐらい、本当に狭いアパートだった。日本でいうところの1LDK。K君の部屋は大きくて、大型のテレビまであった。今年カトリック教徒のコミュニオンをして親戚等にたくさんのお祝い金をもらったので、そのお金で自分の自転車とスマホとテレビを買ったのだそうだ。部屋にはサッカー選手のポスターがたくさん貼られていた。K君はドルトムンドから引っ越してきたので、香川選手のポスターも貼ってあった。K君もK君のママも香川は大好きな選手の一人だと言っていた。そういう話を聞くとなんだかうれしい。マルコ・ロイスというドイツ代表の選手がいるのだが、彼とK君のツーショットもポスターにして貼ってあった。K君のパパはサッカーチームのトレーナー、ママもサッカーをしていたそうで、小さいころからK君にサッカーを教えていたのだそうだ。K君の夢はプロのサッカー選手になること。地元のサッカークラブにも入ってそうそう活躍しているようだ。宿題をしなかったらサッカーをさせない、というと、それだけは嫌だと言って、きちんと宿題をするそうだ。

リビング兼ダイニングキッチンの部屋には大きなテレビとソファーがあり、そのソファーはママのベッドでもあるそうだ。つまり母と子の二人暮らし。詳しくは聞かなかったが、たぶん離婚して実家近くに引っ越してきたということなのだろう。

にこちゃんはK君に今度うちに泊りにきて、と言っていた。でもたぶんそれは難しいことなんだろうなと思う。K君はかなり強い薬を2年間服用しているそうだ。来月検査があるので、改善しているといいのだけど・・・とママがため息をついた。K君のてんかんがうまくコントロールされて、K君ママにも心休まる日が来るといいなーと心から思った。





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最終更新日  2016年10月26日 05時44分22秒
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