ドイツでマルチリンガルを育てる

11時４５分に小学校の授業は終わる。うちは学校から近いので、１２時前にはニコちゃんは帰ってくる。
しかし昨日は１時を過ぎても戻ってこなかったので、流石に心配になった。
近所のヨハネス君の家に電話をしようかと思っていた矢先にニコちゃんが戻ってきた。
何故遅くなったのか玄関で問いただすと、今説明する、と言って、食卓の椅子に座った。

「今日、学校の売店でD君がドーナツを買うために２ユーロ持ってきていた。休み時間にお金を探したら、なかった。ランドセルの中を探していたら先生から「休み時間だから教室に残っていてはいけない。外に出なさい」と言われた。D君は教室の外に出てから先生のことを、デブ、ブタ、売女・・と罵った。それをクラスメートが先生に告げ口した。先生はすごく怒って、D君をその後の授業ずっと廊下で受けさせた。僕は休み時間D君の近くにいたけど、D君がそんなことを言ったのを聞いてないし、D君本人も言ってないと言っているから、先生に、D君はそんなこと言ってないよ、と言ったら、「大勢の子が言ったと証言しているのに、何故君はウソをつくのか？」と怒られた。だから先生はママに電話したのかと思って、怖くて家に帰れなかった。僕は嘘を言ってないのに」と泣き出した。

ニコちゃんは筋道を立てて話しているわけではなく、時系列もめちゃくちゃなので、なかなか理解できなかったが、要約すると上記のような事を言った。先生はそんなことでニコちゃんのことを怒るだろうか？せいぜい友達をかばって嘘をついているんだな、としか思わないと思う。ママに怒られるのが怖くて１時間も家に帰る決心がつかなかったというのは、余程のことをしたと思う。たぶん上記の話はニコちゃんのパートについては作り話のような気がする。もっと別のことをしでかしたのだろう。先生に連絡しようと思ったが、どうせ明日保護者会で会うので、そのときにでも聞いてみようと思う。

今日は１２時前に戻ってきた。
しかしK君と一緒だった。
今まで水曜日はK君を朝と昼に預かっていたが、神経がすり減るので「これからは水曜日も出かけるのでもう家では預かれない」と断った。実際再来週から試験直前対策講座が始まり、毎日学校に行くことになるから嘘ではない。
ところがKくんがニコちゃんの横に立っている。
ニコちゃんは「２時までK君はうちにいてもいいよね？」と聞いた。私は日本語で「どうして連れてくるの？できないって言ったよね？」と怒った。しかしニコちゃんは「僕の部屋で遊ぶだけだから。うるさくしないから」と言って、二人でうちに上がってしまった。

お昼ごはんは昨日の残り物と思っていたのに、急遽作らなければならない状態になった。
すごく頭に来た。「K君は２時で帰るから、その後ピアノと宿題をしなさい」と命令した。
K君は２時から学校でクラブがあるので、自分の家に帰るより、ニコちゃんの家に来たほう歩かなくて済むし、遊べるし、一石二鳥。Kくんが帰った後、ニコちゃんに「何で勝手に連れてくるの？困るよ。」と文句を言ったら、「僕だってダメだ、できないっていったよ。でも僕の後についてくるんだもん。どうしようもないよ。」と答えた。

K君とお昼ごはんを食べているときに、ニコちゃんのクラスメートN君から電話があり、遊ぶ約束を取り付けていた。昼ごはんの後、Kくんは自分のスマホでゲームをし、ニコちゃんはNくんと遊ぶために宿題を片付けてた。最近ニコちゃんはNくんとよく遊んでいる。Kくんのことはどちらかと言うと嫌っていた。絶対にあいつとは遊びたくないとまで言っていたのに、なんで今日連れてきたのかびっくりだ。

Kくんが帰った後、ニコちゃんは早速出かけようとしていたので、私は「２時からピアノをする約束だよね？」と確認した。にこちゃんがしぶしぶピアノを弾き始めたら、今度はヨハネスくんが「遊ぼう」と言いに来た。ニコちゃんは先約があると言って断ってほんのちょっとピアノを弾いて、遊びに行ってしまった。

とにかく毎日誰かと遊んでいる。昨日も今日も夕ご飯の時間まで帰ってこない。それでも昨日は宿題をさせてピアノに行かせ、今日は５分間はピアノを弾かせた。私がいない時は一体ニコちゃんはどんな生活をしているんだろうか？今日はテラスの掃除をしていたら、マッチの燃えカスが何本か落ちていた。
友だちが多いのはいいことだけど、いろいろな面で心配だ。