ドイツでマルチリンガルを育てる

今日仕事から帰ってきたら、夫が「ニコの自転車が盗まれた」と言った。

自転車は家の壁際の自転車スタンドに立てかけてある。家の外ではあるが、敷地内だし奥まったところなので、鍵はかけていなかった。まさか白昼堂々と盗まれるとは思わなかった。夫は家にいて物音に気づいたそうだが、そんな大事とは思わず、確認もしなかったそうだ。

自転車自体は新しいものでもなく、ニコちゃんも別途新品を買ったばかりなので、盗られて困るほどのことではない。でも他人の敷地内に入り込む行為が恐ろしいと思った。

１年前に賢浩も自転車を盗まれた。でもそれは彼の不注意でもある。学校に遅刻しそうになって自転車で行き、鍵をかけずに学校の駐輪場にとめ、自転車で行ったことを忘れて歩いて帰宅。翌日にはもうなかった、というマヌケな話。彼は探しもしないし、警察にも届けなかった。我が家の中では一番新しい自転車だったのに・・・

今回は警察に届けるべきだと私が主張した。夫が電話をかけた。警官は「今、立て込んでいて、署には私一人しかいないので、そっちに伺うことはできない。こちらに来てもらえますか？」と言った。そこで３人で出向いた。

警官は「被害届を出しますか？」と言った。ドイツ語では「Anzeige」という。

自転車の特徴を詳しく聞かれたのだけど、案外覚えていないものだなーと思った。色が夫はグレーといい、ニコちゃんはシルバーといい、私はメタリックブルーと主張。そもそも何年か前に中古で買ったものなので、冷静に考えれば警察の手を煩わせるのが申し訳ないと思った。

でも他人の敷地に勝手に入って他人の所有物を勝手に盗っていく行為が怖くて仕方ない。警察は「残念ながら、自分が歩くのが面倒くさいから、近くにあった自転車を拝借して目的地まで行こうという安易な発想をする人は少なからず存在しているんですよ。自分のものとしてキープするわけではなく、とりあえずその場しのぎができればいいので、古いから盗られない、と思うのは間違いです。もしかしたらルーマニアからの集団かもしれません。その場合は自転車はもう出てこないでしょうね。安心して住めないと思う気持ちは理解できます。もし怪しいと思う人を見かけたらすぐに警察に電話してください。躊躇する必要はないですよ。」と言った。

怪しいと思ったら遠慮なく通報してくださいと言ったが、なんとなく怪しい感じがするという程度で通報して真剣に取り合ってもらえるのだろうか？逆に自分は何にもしていないのに怪しいと通報されてしまった場合、精神的苦痛をどのように補償してもらえるのだろうか？

先月も警察のお世話になったが、とにかく警官は優しい。忙しいだろうに、こんな取るに足らない事件にも真剣に向き合ってくれる。

被害届を出すため、警官は私たちにいろいろなことを質問して、それを文章にしていた。夫はニコちゃんに「警官になるにはちゃんとした文が書けないといけないんだよ。」と言った。警官は「君は警官になりたいの？そしたらいっぱい勉強していい成績をとらないとだめだよ。頑張ってね。」と言ってくれた。

帰る時、警官は「Schönen Abend」と言ってくれた。私は「Danke, Ihnen auch Schönes Wochenende」と言い返した。家に帰ってから、今日が木曜日であることに気付いた。明日はギムナジウムのオープンデーで、ニコちゃんも参加する。だから休みを取った。来週からは学校に行くので、仕事には５月の試験が終わるまで行かない。自分の中ではすでに週末モードだった。だからついつい金曜日と錯覚して「良い週末を！」と言ってしまった。あー恥ずかしい。